有期労働契約の従業員が私傷病によって休職している最中に契約期間が満了する――
このようなケースでは「そのまま契約終了として雇止めできるのか?」と、悩む企業も少なくありません。
今回はこのような場面での雇止めの可否と注意点を解説します。
🔹 契約満了日が休職期間より先に来た場合、雇止めはできる?
基本的には、有期労働契約の終期が先に来た場合、契約満了による雇止めは可能です。
私傷病休職の満了日を待つことなく、契約終了日をもって労働契約は終了します。
⚠ ただし、更新実績がある場合は要注意!
有期契約でも、以下のような事情があると契約満了を理由とした雇止めが「無効」とされる可能性があります。
【労働契約法 第19条】に基づく、雇止めが無効とされる主な2パターン
① 実質的に無期契約と同視できる場合
・過去に何度も契約更新している
・期間満了による終了に客観的合理性がない、社会通念上不相当とされる場合
② 更新されることに合理的な期待がある場合
・更新回数が少なくても、職場で更新が当然視されていた
・就業規則や口頭説明等から「次も更新される」と期待される状況にある場合
🔍 私傷病中であっても「雇止めできない」ケースとは?
たとえ契約満了日が来ていても、上記①または②に該当し、かつ以下のような事情があると、雇止めは無効と判断されるリスクがあります。
- 休職している従業員が近いうちに回復・復職可能な状態である
- 雇止めに対して明確な理由や証拠がなく、「解雇権濫用」に準じた判断がされる場合
📌 根拠法令・参考情報
💬 まとめ|雇止めには慎重な判断を
契約期間満了という形式的な理由だけで雇止めを行うと、トラブルにつながるおそれがあります。
とくに私傷病休職中の従業員に対する雇止めは、回復の見込みや契約更新の期待の有無など、個別事情を丁寧に確認することが求められます。
ひらおか社会保険労務士事務所では、実務に即した判断や対応のアドバイスを行っております。
判断に迷う場合は、ぜひお気軽にご相談ください。