職場で従業員の不倫問題が発覚した場合、企業としてどこまで対応できるのか迷う経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、不倫事案に対する企業の対応と、実務で用いられる「指導書」について解説します。
不倫は原則「私生活上の行為」
不倫は基本的に私生活上の行為であり、企業秩序とは関係がないとされています。
そのため、単に「不倫をしている」という事実のみで懲戒処分を行うことは難しいといえます。
しかし、次のような場合には事情が異なります。
- 職場内で不倫関係を噂され、他の従業員の就業環境を著しく悪化させている
- 不倫相手が取引先関係者であり、企業の信用を失墜させた
- 事業場内で不適切な行為に及び、風紀や秩序を乱した
このようなケースでは、企業秩序を乱す「非違行為」として、懲戒処分や指導の対象となり得ます。
「指導書」とは?
指導書とは、従業員に対して行った注意・指導の内容を、文書で残すための書類です。
将来的に懲戒処分や労務トラブルへ発展した際の証拠となり、実務上とても重要な役割を果たします。
指導書には次のような事項を記載します:
- 非違行為があった日
- 非違行為の内容
- 指導内容(今後の禁止事項や改善指導など)
- 従業員本人の署名欄
【事例】不倫事案に対する指導書の記載例
実際の記載例は以下の通りです。
番号 | 非違行為があった日 | 非違行為の内容 | 指導内容 |
---|---|---|---|
1 | 令和◯年◯月◯日 | 不倫関係を強く疑わせる言動により、事業場の秩序を乱した | 職場の秩序を乱すことは許されないため、以後同様の行為を禁止する。不倫関係自体については私生活上の問題とするが、解消を進言する。 |
2 | 令和◯年◯月◯日 | 不倫関係を強く疑わせる言動により、事業場の秩序を乱した | 同上 |
3 | 令和◯年◯月◯日 | 事業場内で不貞行為に及んだ | 重大な企業秩序違反として、再度の行為があれば懲戒処分対象となる旨を伝える |
まとめ
- 不倫は私生活上の行為であり、原則として懲戒の対象にはならない
- ただし、職場の秩序や企業の信用に影響を与えた場合は、指導・懲戒処分の対象となる
- 実務では「指導書」を活用し、適切に記録を残すことが重要
不倫をめぐる問題は、職場内の人間関係や風紀に大きな影響を与えるため、早めの対応と記録の整備が求められます。
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