日本年金機構では、毎月「日本年金機構からのお知らせ」を公表し、事業主や厚生年金保険の被保険者向けに年金制度等の最新情報を発信しています。
令和7年8月号では、特に次の3点が取り上げられました。
- 19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件の変更
- 従業員が65歳に到達したときの被扶養配偶者(第3号被保険者)の手続き
- 年金相談における多言語通訳サービスの提供開始
今回は、企業の実務に特に影響の大きい「被扶養者認定における収入要件変更」について解説します。
収入要件の変更内容
令和7年10月1日以降、19歳以上23歳未満の方が被扶養者認定を受ける際の「年間収入要件」が変更されます。
従来は年収130万円未満(条件付きで106万円未満)などが基準でしたが、今回の改正により、扶養判定時の基準が一部見直されます。
詳細は日本年金機構が公開しているPDFをご確認ください。
👉 「日本年金機構からのお知らせ」令和7年8月号(全国版)
実務への影響と事例
事例1:大学生アルバイトの場合
- 20歳の大学生がアルバイトをしており、年間収入が 128万円 の見込み。
- これまでは被扶養者として認められていたが、令和7年10月以降の判定では 扶養から外れる可能性 があります。
→ 企業としては、従業員からの扶養異動届の提出や、健康保険証の返却・再発行などの手続きが必要になります。
事例2:専門学校生で仕送り中心の場合
- 22歳の専門学校生で、親からの仕送りが主な生活費。アルバイト収入は年間 60万円程度。
- 今回の要件変更後も、収入が基準以下であれば引き続き扶養認定が可能です。
→ 年間収入の見込みを確認し、収入証明(給与明細・源泉徴収票など)を添付して申請します。
企業が取るべき対応
- 令和7年10月以降に扶養認定を行う場合は、新基準での確認が必要
- 社員から「子どもを扶養に入れたい」「外れるかもしれない」といった相談が増える可能性あり
- 健康保険組合や協会けんぽからの案内に従い、適切に書類を整備することが重要
まとめ
今回の「収入要件の変更」は、扶養判定の実務に直結します。特に 大学生や専門学校生のお子さんを扶養に入れている従業員 が多い企業では、10月以降の運用に備えて社内案内や確認体制を整えておく必要があります。
最新情報は日本年金機構の公式ページでも確認可能です。
👉 「日本年金機構からのお知らせ」掲載ページ
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制度改正に伴う社内対応や書類の整備でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。