監督指導を実施した事業場の81.6%で労働基準関係法令違反(令和6年の状況)
2025/08/08|行政資料・リーフレット|調査・統計
厚生労働省は令和7年8月8日、全国の労働局・労働基準監督署が令和6年に実施した、トラック・バス・タクシーなど自動車運転者を使用する事業場への監督指導や送検等の結果を公表しました。
調査結果のポイント
- 監督指導の実施件数:4,328事業場
うち、労働基準関係法令違反があったのは3,532事業場(81.6%)
改善基準告示違反があったのは2,360事業場(54.5%) - 主な労働基準関係法令違反
1)労働時間(42.9%)
2)割増賃金の支払(22.6%)
3)労働時間の状況の把握(7.0%) - 主な改善基準告示違反
1)最大拘束時間(39.4%)
2)休息期間(28.4%)
3)総拘束時間(27.6%) - 送検件数:重大・悪質な違反で59件
※改善基準告示:「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)
2024年4月から、拘束時間や休息時間などの基準が改正されています。
実際の是正事例
事例1|長距離トラック運送業
- 違反内容:
・36協定特別条項を超える時間外労働(最大127時間/月)
・休息時間8時間未満、総拘束時間310時間超
・連続運転4時間超、長時間の荷待ち - 是正措置:
・受注量見直し、荷主との価格交渉
・勤務シフトの再構築
・デジタコで運行管理強化 - 結果:時間外労働を80時間以内、総拘束時間を284時間以内に改善
事例2|タクシー会社
- 違反内容:
・36協定延長時間の超過(最大138時間/月)
・休息時間8時間未満、最大拘束15時間超
・点呼・車両点検時間を労働時間に算入せず未払い - 是正措置:
・労働時間を客観的に把握(デジタコ導入)
・未払い賃金の遡及支払
・勤務割の見直し
事例3|観光バス会社
- 違反内容:
・繁忙期に連続運転4時間超
・週平均拘束時間が基準超過
・運行手当の割増賃金基礎からの除外 - 是正措置:
・デジタコ警告設定
・労使協定の改定(拘束時間上限遵守)
・賃金規程の整備と不足分の遡及
自社で確認したいチェック項目
- 36協定の延長時間・発動手続は適正か
- 月284時間(例外310時間)、休息原則11時間(下限9時間)などの数値遵守
- デジタコ・日報に荷役・点検・点呼時間を含めて記録しているか
- 運行手当等は割増賃金の基礎に含めているか
- 荷待ち時間の短縮や価格転嫁の交渉を行っているか
まとめ
2024年4月から、いわゆる「2024年問題」対応として、自動車運転者の労働時間上限や休息基準が厳格化されています。監督指導では、拘束時間や休息違反、割増賃金の未払いなどが多数見られ、是正指導や送検事案も少なくありません。
早期の点検・改善が、行政指導や送検リスクを回避する第一歩です。
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