労務管理

「スキマバイト」でも労働条件の明示は必要です

アプリやサービスを通じて単発・短時間で働ける「スキマバイト」が広がっています。
柔軟な働き方として注目されていますが、雇用契約である以上、労働条件の明示義務が必ず発生します。

基本原則

労働基準法第15条第1項は、以下のように規定しています。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

この義務は、正社員・パート・アルバイト・単発雇用を問わず すべての雇用契約に適用されます。
したがって「スキマバイト」もその都度、新たな契約として労働条件を明示する必要があります。

明示方法

労働条件の明示方法は以下のとおりです(労働基準法施行規則第5条)。

  • 原則:書面の交付
  • 例外:電子的方法も可(労働者が希望する場合)
    • FAX
    • 電子メール
    • SNSメッセージ(ただし、出力して書面化できるものに限る)

👉 電子的手段を用いる場合は、以下の実務上の工夫が有効です:

  • 労働者の希望を個別かつ明示的に確認する
  • メール等で到達確認を取る
  • 添付ファイル(PDF形式)で送付する

明示が必要な主な事項

労働条件通知書で必ず明示すべき内容には、次のような項目があります。

  • 労働契約の期間
  • 就業場所・従事する業務内容(および変更範囲)
  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇
  • 賃金の決定方法・計算方法・支払方法・締切日・支払日
  • 退職に関する事項(解雇事由を含む)

👉 「スキマバイトだから省略してよい」ということはなく、法定事項をしっかり明示する必要があります。

実務での事例

事例①:募集要項だけでは不十分

飲食店がイベントの単発バイトを募集。

  • 募集広告に「日給1万円」と記載して採用。
  • しかし当日、休憩時間が取れず残業も発生。
  • 労働条件通知書が交付されていなかったため、労基署から是正勧告を受けた。

ポイント: 募集要項は「求人広告」であり、労働契約の成立時には改めて詳細条件を明示する必要があります。

事例②:アプリ上での労働条件提示

物流倉庫の単発ワークで、アプリ画面に「時給1,200円/勤務時間9:00~18:00/支払日:翌月末」と明示。

  • 労働者はアプリ上で条件を確認・保存。
  • 後日支払い遅延があったが、アプリ上の明示が証拠となり、スムーズに解決。

ポイント: 出力可能であればアプリやメールでの明示も法的に有効です。

まとめ

  • 「スキマバイト」も雇用契約であり、都度の労働条件明示は必須
  • 書面交付が原則だが、労働者が希望すれば電子メールやアプリも利用可能。
  • 募集広告と契約時の労働条件明示は別物。必ず法定事項を文書で通知しましょう。

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