こんにちは、ひらおか社会保険労務士事務所です。
従業員やその配偶者から妊娠・出産予定の申出があった場合、事業主には「仕事と育児の両立に関する意向」を聴取する義務があります。これは労使協定の有無にかかわらず、法令上の義務とされています。
本記事では、実務で使用する「意向聴取書」のポイントや事例を解説します。
意向聴取書の目的
「仕事と育児の両立に関する意向聴取書」は、従業員が安心して働き続けられるよう、妊娠・出産・育児に関する希望を確認するための書類です。
具体的には、次のような内容を記録します
- 勤務条件(勤務時間帯、勤務地)
- 両立支援制度(育児休業、短時間勤務制度、時間外労働・深夜業の制限、子の看護休暇など)
- 柔軟な働き方の希望(始業・終業時刻の変更など)
- その他の要望(通院や家庭事情による配慮事項 等)
実務上のメリット
- トラブル防止
事前に希望を確認することで、後の労使トラブルを防止できます。 - 制度利用の円滑化
従業員が育児休業や短時間勤務を利用する際、必要な情報を整理できます。 - 両立支援の姿勢を示せる
「子育てに理解のある会社」として採用や定着にもプラスになります。
事例紹介
事例1:短時間勤務を希望したケース
小売業のEさん(妊娠中の従業員)は、出産後に9:00~16:00勤務の短時間勤務制度を希望しました。会社は意向聴取書を活用して申請内容を明確化し、復職後もスムーズに勤務調整ができました。
事例2:看護休暇を活用したケース
ひとり親のFさんは、子どもの通院や学級閉鎖に対応するため「子の看護休暇」を希望しました。意向聴取書に具体的な希望を記載していたため、上司もシフト調整をスムーズに行えました。
実務対応のポイント
- 書面で記録を残すことが重要
口頭での確認では後から食い違いが起きやすいため、必ず書面で残すことをおすすめします。 - 提出期限を設ける
「○月○日までに人事課へ提出」といった形で締切を明示しましょう。 - 記載例を示すと親切
従業員が書きやすいよう、サンプル例を添付するとスムーズです
まとめ
「仕事と育児の両立に関する意向聴取書」は、従業員の妊娠・出産・育児に対応するうえで欠かせないツールです。
適切に活用することで、従業員の安心感を高め、企業の信頼性も向上します。
👉 制度導入や書式の整備に不安がある場合は、専門家にご相談ください。