2025/09/12 コラム
入社誓約書とは
入社誓約書は、新たに採用した従業員に対し、秘密保持や就業規則の遵守などを誓約してもらうための文書です。
企業と従業員が同じ認識を共有し、後のトラブルを防止する役割を果たします。
一般的には、採用時に説明を行ったうえで署名・捺印をしてもらい、2部作成し企業と従業員が1部ずつ保管します。
入社誓約書に盛り込むべき内容
典型的な入社誓約書には、以下のような事項が盛り込まれます。
- 就業規則や服務規律の遵守
- 提出書類の記載内容に虚偽がないこと
- 機密情報・個人情報の保護(在職中・退職後も含む)
- 反社会的勢力との関与禁止
- 会社や第三者への損害賠償責任
- 正当な理由なく入社を拒否しないこと
- 提出書類の人事労務管理への利用承諾
- 業務・職務・勤務地の変更への従属
- 健康管理義務
- 上司の指示命令への従属
- 競業避止義務(在職中・退職後も一定期間含む)
実務上の事例
事例①:秘密保持義務違反
退職後、元従業員が顧客情報を競合会社に持ち出したケース。
入社誓約書に「退職後も秘密保持義務がある」と明記していたため、会社は損害賠償請求が認められました。
事例②:競業避止義務
退職後すぐに競合会社へ転職した元従業員に対して、入社誓約書に基づき差止請求を行ったケース。
ただし、競業避止義務は「期間」「地域」「職種」を限定しないと無効となる可能性があるため、文面の工夫が重要です。
事例③:就業規則の遵守
服務規律違反を繰り返す従業員に対し、入社誓約書を示し「遵守義務に反している」として懲戒処分の有効性を補強できた例。
実務担当者へのアドバイス
- 入社誓約書は就業規則とセットで運用し、説明の場で従業員の理解を得ることが大切です。
- 特に秘密保持義務と競業避止義務は紛争に発展しやすいため、弁護士や社労士に相談して文面を整備しましょう。
- 従業員本人にもコピーを渡し、後から「聞いていない」というトラブルを防ぐ工夫が必要です。
まとめ
- 入社誓約書は、企業と従業員の信頼関係を明確化するための必須書類。
- 秘密保持・就業規則遵守・競業避止などを記載することで、トラブル防止に役立ちます。
- 実務では、必ず説明・署名捺印を経て、企業と従業員がそれぞれ保管することが重要です。
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