採用現場では「前職の有給休暇を消化しながら、新しい会社に入社する」ケースがよくあります。
このとき、雇用保険 と 社会保険(健康保険・厚生年金) の加入をどう取り扱うべきか、実務上迷いやすいポイントです。
雇用保険の取扱い
- 複数の会社で同時に雇用される場合、雇用保険は 主たる賃金を受ける1社のみで加入 します(雇用保険法 第6条)。
- 前職でまだ雇用保険の資格が残っている間は、新会社では資格取得できません。
- 新会社で雇用保険に加入できるのは、前職の資格喪失日の翌日以降 です。
社会保険(健康保険・厚生年金)の取扱い
- 健康保険法・厚生年金保険法の「適用除外要件」に、他社在籍中という理由は含まれていません。
- そのため、入社した従業員が所定労働時間や労働日数などの要件を満たしていれば、前職で有休消化中でも新会社で加入が必要 です。
- 結果として、短期間「二重加入」の状態が発生しますが、年金機構・健保組合側で整理されます。
事例:9月末まで有休消化、新会社に9月20日入社
- 雇用保険
前職:資格喪失日=9月30日退職 → 新会社での資格取得は10月1日から可能 - 社会保険
新会社で9月20日に入社 → 入社日から加入対象
(前職と新会社の二重加入状態が9月20日~30日に発生するが、最終的に調整される)
実務ポイント
- 雇用保険と社会保険の扱いは異なる
→ 雇用保険は「前職の資格喪失後」に加入、新会社での即時加入は不可
→ 社会保険は「新会社の入社日に加入」 - 入社手続きの説明を明確にする
→ 従業員に「雇用保険は10月1日から」「社会保険は入社日から」と説明しておくことでトラブル防止 - 給与計算・保険料控除にも注意
→ 社会保険料は入社日から控除開始、雇用保険料は資格取得日以降に反映
根拠法令・参考情報
- 雇用保険法 第6条(適用除外)
- 健康保険法 第3条(定義)
- 厚生年金保険法 第12条(適用除外)
👉 厚生労働省『雇用保険に関する業務取扱要領』
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