2025年9月9日、経済産業省・中小企業庁から「最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策」が公表されました。
今年の最低賃金は 全国加重平均66円引上げ と過去最大の水準であり、中小企業の経営に与える影響は非常に大きいものです。
本記事では、経産省が示した支援策の概要と、実務に活かせる事例をご紹介します。
1. 価格転嫁対策の強化
最低賃金引上げの原資を確保するためには、適正な価格で取引することが不可欠です。
- 改正下請法(取引適正化法)・振興法の執行強化
- 発注側企業への取引慣行改善の要請
- 業界横断的な取引適正化の働きかけ
👉 事例:大阪の製造業者A社では、これまで原材料費の高騰分を価格に反映できずにいました。しかし、中小企業庁の「下請Gメン」の指導を受けた発注側企業が単価見直しに応じ、結果的に従業員への賃上げを実現しました。
2. 補助金・税制による賃上げ支援
- 持続化補助金:販路開拓や設備投資を通じて売上増を目指す小規模事業者向け
- 賃上げ促進税制:赤字企業でも活用できる税制優遇措置
- 事業承継・M&A・再生支援:経営資源の有効活用による持続的な成長
👉 事例:京都の飲食業B社では、持続化補助金を利用して新しいテイクアウト商品を開発。売上が安定したことで、最低賃金引上げにも対応できる体制を整えることができました。
3. 生産性向上による賃上げ支援
- ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金の要件緩和
- 審査での加点優遇
- 厚生労働省との連携による周知・相談体制の強化
👉 事例:東京の介護事業C社は、IT導入補助金を活用して勤怠管理システムを導入。手作業だったシフト調整が効率化され、管理コストが減少。その分を従業員の基本給引き上げに回せるようになりました。
4. 厚生労働省の「業務改善助成金」拡充
経産省の施策と並行して、厚生労働省も「業務改善助成金」を拡大。
- 助成対象の拡大
- 要件の緩和
により、最低賃金引上げに取り組む中小企業を後押ししています。
まとめ
最低賃金引上げは中小企業にとって大きな負担ですが、国の支援策を上手に活用することで賃上げと経営改善を両立させることが可能です。
- 価格転嫁対策で取引適正化
- 補助金・税制で賃上げ原資を確保
- 生産性向上で持続的な成長を実現
自社の状況に合った支援策を選び、積極的に活用していきましょう。
👉 経済産業省「最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策」公式ページはこちら