~労働者派遣法の規制と実務対応~
1. 離職後1年以内の派遣受け入れは原則禁止
「自己都合で退職した元従業員を派遣社員として戻したい」というケースは少なくありません。
しかし、離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることは、労働者派遣法で原則禁止 されています。
これは、企業が本来は直接雇用すべき労働者を「派遣」という形に切り替え、
- 労働条件を不利に変更する
- 処遇を引き下げる
といった行為を防止するための規制です。
このルールは「自己都合退職」であっても適用される点に注意が必要です。
2. 例外となるケース
すべてのケースで禁止されるわけではなく、例外も定められています。
除外される主なケース
- 60歳以上で定年退職した労働者
→ 定年後に派遣で働くことは可能です。 - 日雇派遣が認められる特例業務(例:ソフトウェア開発など高度専門業務)
→ ただし要件は厳格です。
3. 実務での注意点
企業が違反すると、労働者派遣法に基づき 是正指導や行政処分の対象 となる可能性があります。
チェックポイント
- 元従業員の 退職日から1年経過しているか を確認
- 退職理由(自己都合・会社都合)に関わらず適用 されることを理解
- 派遣会社に依頼する際も「離職者かどうか」を必ず確認
4. 事例で考える
事例①:禁止されるケース
A社を3か月前に自己都合で退職した元従業員を、派遣会社を通じて再び受け入れようとした。
👉 労働者派遣法第40条の9により、離職後1年以内の受け入れは禁止 されるため不可。
事例②:例外にあたるケース
B社で60歳の定年を迎え退職した従業員を、半年後に派遣として受け入れることにした。
👉 定年退職者は例外規定に該当 するため受け入れ可能。
5. まとめ
- 元従業員を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることは原則禁止。
- 自己都合退職でも規制は適用される。
- 例外として、定年退職者(60歳以上) は対象外。
👉 派遣受け入れを検討する際は、退職日・退職理由・年齢 を必ず確認しましょう。
📖 根拠法令
- 労働者派遣法 第40条の9(離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)
- 労働者派遣法施行規則 第33条の10