育児休業を取得する従業員を支援する制度として、雇用保険から「育児休業等給付」が支給されます。
ただし、制度は複数の給付に分かれており、現場では「どれが対象?」「手続きは?」と迷うケースも多いです。
今回は、厚生労働省が公表しているQ&Aをもとに、実務でよくある質問を整理しました。
主なQ&Aのポイント
1. 育児のための給付金について
Q:出産前に育児休業を開始した場合も対象ですか?
A:原則は出産後からですが、特定の要件を満たせば対象になることもあります。
👉 実務の注意点:申請書に休業開始日と出産日を正確に記載すること。
2. 出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
Q:男性が「産後パパ育休」を2回に分けて取得した場合、給付金も分割されますか?
A:はい、分割取得に応じて給付も分けて支給されます。
👉 事例:Aさん(男性社員)が出産直後に2週間休み、その後1か月後に再度2週間休んだ場合、それぞれの期間に応じて支給されます。
3. 育児休業給付金
Q:育児休業を延長した場合も給付は続きますか?
A:最長で子が2歳になるまで給付対象となります。
👉 実務の注意点:延長には申請期限があり、遅れると不支給になるため早めの申請が必須です。
4. 出生後休業支援給付金
Q:雇用保険に加入していない短時間労働者も対象になりますか?
A:原則として雇用保険被保険者が対象であり、非加入者は支給対象外です。
5. 共通の質問(育児休業給付・出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金)
Q:休業中にアルバイトをすると給付は受けられなくなりますか?
A:賃金額によって減額や不支給となる場合があります。
👉 事例:Bさん(女性社員)が育児休業中に週1回だけ短時間勤務した結果、支給対象額が一部減額されました。
6. 育児時短就業給付金(新設)
Q:短時間勤務を選んだ従業員に対して、給付はどのように支払われますか?
A:一定の条件を満たす場合に、通常賃金との差額を補填する形で支給されます。
👉 実務の注意点:短時間勤務の導入・就業規則への反映が前提条件となります。
7. 育児休業等給付共通の質問
Q:休業中に社会保険料は免除されるのですか?
A:健康保険・厚生年金については免除されます。ただし、雇用保険料については賃金が発生しない場合に免除される仕組みです。
実務でのまとめ
- 休業の開始日・終了日、延長申請の期日管理が重要
- 社員の働き方(短時間勤務、アルバイトなど)によって支給額が変動する
- 契約社員・パート社員も要件次第で対象となるため、雇用保険加入状況を必ず確認
制度は複雑ですが、正しく理解して手続きすることで従業員の安心と企業の信頼につながります。
根拠法令・参考情報
- 厚生労働省『Q&A~育児休業等給付~』
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