~10名未満事業場の「労働時間の特例」をわかりやすく解説~
こんにちは。ひらおか社会保険労務士事務所です。
小規模の歯科医院や整骨院などから、よく次のような相談を受けます。
「うちは従業員が8人ですが、週40時間ではなく、週44時間で就業規則を作ってもいいですか?」
結論から言うと――
条件を満たせば、“週44時間まで” 所定労働時間を設定できる場合があります。
ただし、医療機関すべてに適用されるわけではなく、注意が必要です。
🔍 法定労働時間の原則
| 区分 | 労働時間 |
|---|---|
| 原則 | 1週間 40時間/1日 8時間 |
| 特例事業(10名未満) | 1週間 44時間まで可能 |
🏥 歯科医院は「保健衛生業」に該当する?
労働基準法第40条では、「保健衛生業」を特例対象として定めています。
歯科医院は一般的に「保健衛生業」として扱われるケースが多いですが、最終判断は労働基準監督署の判断に委ねられます。
✅ 適用される可能性がある業種
- 歯科医院
- 個人病院(診療所)
- 鍼灸院・整骨院
🧮 適用判断における「10人未満」のカウント方法
| カウントする人 | 含まれるか |
|---|---|
| 常勤スタッフ | ✅ 含む |
| パート(短時間でも常時勤務) | ✅ 含む |
| 院長(事業主) | ❌ 含まない |
| 産休・育休中 | ✅ 含む |
🏢【事例】従業員8名の歯科医院A医院のケース
歯科医師1名、衛生士4名、受付3名(計8名)
就業規則を週40時間→44時間へ変更しようとしたが、
労基署から「保健衛生業該当か確認が必要」と指摘。→ 説明資料を添えて届け出たところ、週44時間の設定が認められた。
ポイント:
✔ 業務内容の説明(診療、保健衛生行為)が必要
✔ 勝手に週44時間にすると是正勧告のリスクあり
⚠ 注意!週44時間でも「残業代ゼロ」ではない
| 項目 | 誤解されやすいポイント |
|---|---|
| 所定労働時間 | 週44時間までOK |
| 残業の発生 | 週44時間を超えた時点で発生 |
| 36協定 | 必ず届け出が必要 |
🗂 実務対応:就業規則に記載すべき文言例
(所定労働時間)
第○条 本事業場の所定労働時間は、1週44時間、1日8時間とする。
※ 必ず「適用事業場は常時10人未満である場合に限る」との注記を添えることが望ましい。
✅ まとめ
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 歯科医院は週44時間にできる? | 条件を満たせば可能 |
| どの条件? | 保健衛生業+従業員10人未満 |
| 届出は必要? | 就業規則・36協定の確認が必要 |
| 労基署確認は必要? | ✅ 必須(判断が分かれるため) |
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