労務管理

【実務解説】年収の壁「事業主の証明による被扶養者認定」が恒久化へ

~パート・アルバイトが扶養から外れないための新ルール~

こんにちは。ひらおか社会保険労務士事務所です。
厚生労働省は令和7年10月、「年収の壁・支援強化パッケージ」による被扶養者認定の緩和(事業主の証明方式)を“恒久措置”とすることを正式に通知しました。

これまでは“当面の特例”とされていたため、事業主からも

「いつまでこの証明書を使えるのか?」
「本当に健康保険組合は認めるのか?」
という不安の声が多く聞かれていました。

今回の通達により、この証明方式は継続して利用可能となります。

🔍 そもそも「事業主の証明方式」とは?

パート・アルバイトの方が繁忙期などで一時的に年収が増えても、
“今後は扶養範囲内に戻る予定です” と事業主が証明すれば、
健康保険の被扶養者として認定され続けることを認める制度です。

従来一時的に130万円を超えると扶養から外れる
現行(証明方式)“一時的超過”なら扶養のままでOK(会社が証明)

🏢 【実務でよくあるケース】

事例:飲食店パート・Bさん(年収見込み 128万円)

12月の繁忙期で残業が増え、一時的に130万円を超えそう
➤ 本人「扶養から外れますか?」
➤ 会社「今後は調整します」と証明書を発行
✅ 扶養継続、保険もそのまま

このように、年末一時的な収入増だけで扶養喪失とならないようにする仕組みです。

📄 会社が発行する「事業主の証明書」とは?

以下の内容を記載した様式を提出します(協会けんぽ・健保組合等):

主な記載項目内容
今後の雇用見込み月収・勤務時間を扶養範囲内に戻す
一時的増収の理由繁忙期、臨時のシフト増等
従業員の現状継続雇用・契約条件に変更なし

⚠ 注意!この制度を使えないケース

NGケース理由
継続的に月収10万円超“一時的”ではない
契約変更でフルタイム化将来も扶養外の収入
虚偽の証明健保審査で却下、事業主責任に

👔 会社が準備しておくべき実務ポイント

対応項目実務ポイント
① 扶養範囲の確認130万円(被扶養)・106万円(社保加入)
② 勤務管理シフト増減・残業の把握
③ 証明書のひな型健保指定様式を準備・保管
④ 従業員向け説明「急な収入増で不安な方は相談を」

🧭 制度の“恒久化”が意味すること

今まで令和7年以降(恒久化)
期間限定の特例継続利用OK
健保によって対応差あり全国統一で運用
会社・本人とも不安安定した制度として定着

💬 よくある質問(Q&A)

Q. 証明を出せば必ず扶養のままでよい?
A. 健康保険組合が審査します。虚偽・継続超過は不可です。

Q. 130万円を少しでも超えたらダメ?
A. 一時的・例外的であればOK。ただし毎月超えるのはNG。

Q. パートさんから相談がきたら?
A. 「早めに会社に相談してください」と案内しましょう。

📝 まとめ(企業が取るべき姿勢)

キー対応実務ポイント
🔍 従業員の不安解消配偶者扶養の説明
🗂 証明書の準備健保様式+雇用管理台帳
🤝 社労士と連携審査NG時もフォロー

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