労務管理

【実務解説】通勤災害で休業中の従業員は「解雇制限」の対象になる?

~業務災害との違い・企業が注意すべきポイント~

こんにちは。ひらおか社会保険労務士事務所です。
労災には 「業務災害」と「通勤災害」 の2種類がありますが、それを混同してしまうと、重大な労務トラブルにつながります。

今回の疑問はこちら:

通勤災害で休んでいる従業員は、労働基準法の「解雇制限」の対象になるのか?

✅ 結論:原則として「対象外」

通勤災害による休業は、労基法19条に定める“解雇制限”の対象には入りません。

災害の種類解雇制限の対象?
業務災害(仕事中のケガ)✅ 対象(解雇禁止)
通勤災害(通勤中のケガ)❌ 原則対象外

⚖ 法的根拠:労働基準法 第19条

業務上の負傷または疾病で休業する期間およびその後30日間 は解雇をしてはならない。

📝 ポイント
通勤災害は「労災保険の補償対象」ではありますが、
“事業主の指揮命令下ではない”ため、労基法上は業務外扱い となります。


🔍 ただし例外あり:通勤でも“業務性”が認められるケース

ケース業務上として扱われる可能性
会社が用意した送迎バスで事故✅ 業務上災害扱い
突然の呼び出し(休日出勤命令)での移動中✅ 業務上と判断されることも
通常の自宅→会社の通勤途中❌ 通勤災害(対象外)

🏢【実例】通勤災害で長期休業 → 会社判断が問題に

製造業B社(従業員30名)
従業員が通勤途中に交通事故 → 3ヶ月休業
社長「業務災害じゃないから、解雇してもいいよね?」

→ 解雇を通告したところ、本人が弁護士へ相談
→ 労働局あっせんとなり、慰謝料と退職金上乗せで解決

教訓:
「解雇制限の対象外=解雇してよい」ではありません。
企業には“安全配慮義務”や“信義則”が問われます。

🧭 実務で取るべき対応

対応理由
📌 すぐ解雇は避ける不当解雇・争訟リスク
📩 休職制度の適用就業規則に従う
🤝 復職支援の検討リハビリ・時短勤務など
📄 書面でのやり取り口頭対応はトラブルのもと

🚨 注意!“解雇制限がない”からと言って…

よくある誤解正しい理解
解雇制限がない → 解雇OK❌ 不当解雇の可能性
会社に責任がない❌ 安全配慮義務や信義則は残る

✅ まとめ

質問回答
通勤災害で休業中は解雇制限の対象?❌ 原則対象外
ただし…❗ 解雇してよいわけではない
実務で重要なこと🧭 休職制度・誠実対応が必須

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