労務管理

【実務解説】長時間労働のリスクと対策

従業員が知っておくべき健康被害とセルフチェック

はじめに:なぜ今、「長時間労働」を考えるべきか

働き方改革が進む中でも、月80時間を超える残業(過労死ライン)が続く企業は少なくありません。
長時間労働は、単なる「忙しさ」ではなく、命に関わる労働災害につながる重大な問題です。

企業には「安全配慮義務」があり、従業員を守るためには労働時間の把握・健康管理・相談体制の整備が不可欠です。

1.法律で定められた労働時間の上限

区分基準
法定労働時間1日8時間、週40時間
時間外労働の上限原則:月45時間、年360時間
過労死ライン月80時間超(※健康障害リスクが極めて高い)

月45時間を超えたあたりから、健康障害の兆候が増加します。


2.長時間労働が引き起こす主な健康リスク

● 身体への影響

  • 高血圧、動脈硬化の進行
  • 突然の脳卒中・心筋梗塞(命にかかわるケースも)

● メンタルへの影響

  • 睡眠障害、慢性疲労
  • うつ病、不安障害などのメンタル不調

3.従業員ができるセルフチェック

以下に1つでも当てはまる場合、働き方の見直しが必要です。

✅ 最近、ぐっすり眠れていますか?
✅ 休日も仕事のことを考えてしまうことはありませんか?
✅ 疲れが翌日まで残っていませんか?


4.今日からできる対策

対策内容
業務の見直し優先順位付け、ムダな作業の削減
休息と休暇勇気を持って休む、計画的な有給取得
制度の活用ノー残業デー、勤務間インターバル制度
相談の活用上司・人事・産業医への早期相談

5.【事例紹介】30代男性社員のケース

製造業に勤務するAさん(30代)は、2か月連続で月100時間超の残業を経験。
ある朝突然、胸の痛みを訴え救急搬送され、心筋炎と診断されました。

Aさんは運良く命に別状はありませんでしたが、医師からは**「長時間労働による過労が原因」**と指摘。
会社はこれを機に労働時間管理の見直しと、産業医面談制度を導入しました。

👉 教訓:健康被害は“ある日突然”に起こる


6.会社が守るべき義務:安全配慮義務

企業は、従業員が心身の健康を害さないように配慮する法的義務があります。

  • 労働時間の適切な管理
  • 過重労働者への面談実施
  • 健康診断結果に基づく措置

まとめ:一人で抱え込まず、相談することが第一歩

長時間労働は、「努力」や「根性」では解決できない問題です。
働く環境を整えることは、企業の力でもあり、従業員自身を守る行動でもあります。


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