労務管理

【書き方ガイド】離職証明書の書き方

~失業給付の手続きで間違えやすいポイントを解説~

1.離職証明書とは

離職証明書は、従業員が失業手当(雇用保険の基本手当)を受給するために必要な書類です。
会社が作成し、ハローワークへ提出することで、「離職票(離職票-1・離職票-2)」が発行されます。
この離職票を従業員が持参して、失業給付の申請を行う流れです。

2.提出期限と提出先

  • 提出期限: 離職日の翌々日から10日以内
  • 提出先: 事業所所在地を管轄するハローワーク
  • 提出方法: 郵送・持参・電子申請(e-Gov またはマイナポータル経由)

💡 2025年1月からは、希望する離職者のマイナポータルに離職票を直接送付できるサービスも始まりました。

3.書き方のポイント

① 事業主の証明欄

離職者の氏名・住所・事業主の名称などを記入します。
住所は離職票の提出先ハローワークを判断する基準になるため、事前に本人へ確認しましょう。

②~⑤ 被保険者期間・賃金情報欄

ここは失業給付の金額・期間に直結する重要部分です。

欄番号内容記入のポイント
被保険者期間算定対象期間離職日からさかのぼって12か月分(1か月単位)を記入。賃金支払基礎日数が11日以上の月を対象とする。
賃金支払基礎日数有給休暇・半日休暇も1日としてカウントします。
賃金支払対象期間賃金締切日の翌日から次の締切日までを1期間として6か月分を記入。
賃金支払対象期間の基礎日数上記期間のうち、賃金支払の基礎となる日数を記入します。

※「日給制・時間給制」と「月給制」では、記入欄(A欄・B欄)が異なる点に注意。

4.離職理由の記入方法(⑧・⑨欄)

離職理由(⑧)

離職理由の「1〜5」から該当する項目に〇を記入します。
該当がない場合は「6:その他」に〇をつけ、備考欄で具体的に説明します。

具体的事情記載欄(⑨)

離職の経緯を簡潔かつ具体的に記入します。
例えば「自己都合による退職」「会社都合による解雇」など、失業給付の区分判断に直結するため明確に記載する必要があります。

5.【記入例】

ケース記入例
自己都合退職「自己都合による退職」
定年退職「就業規則に基づき〇歳定年により退職」
契約満了「1年契約を5回更新したが、労働者が退職を希望したため」
解雇「経営不振による人員整理のため解雇(解雇予告日〇月〇日)」
希望退職制度「経営悪化に伴う人員整理の一環として希望退職制度に応募し退職」

6.【実務に役立つ事例】

事例①:月給制社員の離職証明書記入ミス

誤り例: 月給制にもかかわらず、賃金額を「日給制(B欄)」に記入。
→ ハローワークから再提出を求められ、離職票の発行が遅延。
対応策: 月給制は必ず「A欄」に記入する。

事例②:離職理由の曖昧な記載

誤り例: 「一身上の都合」だけを記載。
→ 失業給付上、「正当な理由のある自己都合」と区別できず、給付制限が発生。
対応策: 「家族の介護のため退職」「転居により通勤困難」など、具体的事情を明記。


7.離職票発行までの流れ

1️⃣ 離職者へ離職票の発行希望を確認
2️⃣ 離職証明書を作成
3️⃣ 離職者に内容確認・署名を依頼
4️⃣ ハローワークへ提出
5️⃣ 離職票が発行されたら本人へ交付


8.まとめ

離職証明書は、離職票発行のための最初のステップであり、
記入内容に誤りがあると失業給付の手続きに遅れが生じます。

特に「離職理由」や「賃金情報欄」は、慎重な確認が必要です。
社労士としては、就業規則・賃金台帳・出勤簿の整合性を確認しながら作成することがポイントです。


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