労務管理

定年後再雇用の労働条件は、いつまでに通知しなければならない?

定年後も従業員を再雇用する制度は、多くの企業で導入されています。
しかし「労働条件をいつまでに通知すればよいのか?」について、実務で迷うケースが少なくありません。

法律上の定め

労働基準法第15条では、

「労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」

と定められています。
この「締結に際し」とは、労働契約を結ぶ時点を指すため、法律上「何日前までに通知」といった期限は明示されていません。

実務上の適切なタイミング

法律に明記はなくても、実務では以下の点から早めの通知が必要です。

  • 定年後の生活設計を考えるため、従業員には時間的余裕が必要
  • 労働条件に納得できず再雇用を辞退する可能性もある
  • 就業規則や再雇用規程に記載されている場合は、そのルールに従う必要がある

したがって、遅くとも定年退職日までに通知し、可能であれば数か月前(例:3か月前)に提示するのが望ましいでしょう。

事例:再雇用条件の提示が遅れたケース

ある製造業の企業では、従業員に再雇用契約書を提示したのが「定年退職日の当日」になってしまいました。
従業員は「もっと早く条件がわかっていれば、家計の見直しや年金の手続きがスムーズにできたのに」と不満を抱き、再雇用を辞退。結果的に現場の人員不足につながりました。

このように通知の遅れは従業員だけでなく、企業にとっても大きなリスクとなります。

実務対応のポイント

  • 就業規則や再雇用規程に「通知の時期」を明記する
  • 定年退職の数か月前に、人事面談を行い再雇用条件を提示
  • 労働条件通知書や再雇用契約書を必ず書面で交付

まとめ

定年後再雇用の労働条件は、法律で明確な通知期限は定められていないものの、実務上は定年退職日の数か月前までに提示するのが望ましい対応です。
従業員の安心感を高め、企業としてもスムーズな人員確保を行うために、早めの準備を心がけましょう。

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