労務管理

社長の奥さんのボーナスが経費にできない?

2025/10/03 コラム

社長の奥さん(取締役ではない)が経理を担当している会社は多いでしょう。
「今期は業績が良さそうだから奥さんにボーナスを払おう!」――そんなとき注意が必要です。実は、社長の奥さんへの賞与は基本的に経費(損金)になりません

本記事では、その理由と実務上の注意点を解説します。

法人税における「役員」とは

会社法では役員を「取締役」「会計参与」「監査役」と定めています。
ただし法人税法には、登記された役員以外でも「役員と同じ扱い」になる人を みなし役員 として定義しています。

みなし役員の判定基準

以下の2つに当てはまる場合、従業員であってもみなし役員とされます。

  1. 経営に従事しているか
    • 経営上の重要な意思決定に関与しているかで判断。
    • 経理業務が「経営に従事している」とみなされるケースが多い。
  2. 株式の保有割合が一定以上か
    • 本人や配偶者で5%超を保有している場合
    • 同族グループで10%超を保有している場合
    • 上位3位以内の同族グループで50%超を保有している場合

社長の奥さんは「みなし役員」になるのか

中小企業では社長が100%株式を保有することも多く、その配偶者である奥さんは保有基準で「みなし役員」とされやすい状況にあります。
さらに、経理を担当することが「経営に従事」と判断されれば、社長の奥さんはみなし役員 となります。

この場合、役員賞与は原則損金不算入 となるため、会社の経費にはできません。

事例:経理を担当する奥さんにボーナスを支払ったケース

ある製造業の会社では、社長の奥さんが経理を一手に担っていました。業績好調のため、感謝の気持ちを込めてボーナス50万円を支給しました。

ところが税務調査で、奥さんが「みなし役員」に該当すると判断され、支給したボーナスは経費と認められず、追徴課税を受けてしまいました。

実務での対応ポイント

  • 役員賞与は原則損金不算入であることを押さえる
  • 社長の奥さんが「経理」「総務」を担っていても、税務上は経営に関与していると判断されやすい
  • 感謝の気持ちを形にしたい場合は、役員報酬として定期同額給与に組み込むなどの工夫が必要

まとめ

  • 社長の奥さんが「みなし役員」とされるケースは多い
  • その場合、ボーナスは経費にならない
  • 支給方法は 役員報酬(定期同額給与)で設計するのが安全

「家族にボーナスを出したいが経費にしたい」と考える経営者は少なくありませんが、税務上のリスクを理解して正しい方法を選択することが重要です。

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