こんにちは。ひらおか社会保険労務士事務所です。
今回は、2025年度の地域別最低賃金改定について、実務に役立つポイントを整理しました。
1. 改定の全体像
- 全国加重平均66円の引上げ
昭和53年度に目安制度が始まって以降、最大の引上げ額です。 - 全都道府県で最低賃金が1,000円を突破
これにより、最低賃金「1,000円時代」が全国で到来しました。 - 引上げ幅の分布
多くの地域では63~65円の引上げですが、最大で82円引き上げられた地域もあります。 - 発効時期のばらつき
2025年10月から順次施行されますが、一部の都道府県は2026年3月31日が最も遅い発効日となっています。
2. 実務への影響ポイント
(1) 賃金体系の見直し
最低賃金を下回らないように、時給制・日給制だけでなく、月給制の従業員も換算して確認が必要です。
- 月給÷所定労働時間=時間額を算出
- その額が最低賃金を下回っていないかを必ずチェックしましょう。
(2) 手当の扱いに注意
最低賃金の比較対象に含めることができるのは 基本給と一部手当(職務手当など) です。
一方で、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・時間外手当 などは比較対象に含められません。
(3) パート・アルバイトの調整
最低賃金の影響は、パート・アルバイト従業員に直撃します。シフト単価の調整だけでなく、人件費全体の見直しが必要です。
3. 事例紹介
事例①:飲食店A社
アルバイト30名を時給制で雇用していたが、改定後の最低賃金を下回る従業員が10名発生。
→ 時給調整により月10万円以上の人件費増加が見込まれる。
→ 業務効率化と業務改善助成金の活用を検討することに。
事例②:製造業B社
月給制社員を中心に雇用していたが、
「月給18万円 ÷ 173時間 = 約1,041円」で最低賃金を下回らないか再計算。
→ 結果的にセーフだったが、今後の昇給制度や評価制度との整合性を見直す必要が生じた。
4. まとめ
- 2025年度は「最低賃金全国1,000円超え」の節目の年
- 時給・月給問わず全従業員の時間額換算チェックが必須
- 人件費増加に対しては 助成金や制度改定を活用 して対応するのが効果的
最低賃金の改定は、単なる時給調整にとどまらず、企業の人事戦略全体に影響します。
早めのチェックと制度整備を進めていきましょう。
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