「年金事務所の調査に呼ばれたけれど、どれくらい時間がかかるの?」
そんな質問をよくいただきます。
実は、調査の所要時間は事業所の規模や提出資料の整備状況によって変わります。
今回は、調査の流れと実務での対応ポイントをわかりやすく解説します。
🔹年金事務所の調査とは?
年金事務所の調査とは、厚生年金や健康保険などの社会保険の加入・届出内容が正しく行われているかを確認するために実施されるものです。
これは、法令に基づいた「行政指導」であり、企業にとっては社会保険の適正運用ができているかをチェックする機会でもあります。
調査の対象となるのは、主に以下のような事業所です。
- 新しく法人設立した会社
- 保険加入後、数年以上調査が入っていない会社
- 算定基礎届・月額変更届などに不備が見られた会社
- 雇用保険・労災のデータと整合性が取れていない会社
🔹調査の所要時間の目安
年金事務所の調査は、一般的に30分~2時間程度で終了します。
ただし、提出書類の量や確認内容によって変動します。
| 規模・状況 | 所要時間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 従業員数10名未満 | 約30分〜1時間 | 書類が整っていれば短時間で終了 |
| 従業員数10〜50名 | 約1〜2時間 | 届出や報酬記録の確認に時間を要する |
| 書類不備・説明が必要な場合 | 2時間以上 | 追加説明や訂正のため時間延長あり |
💬 ポイント
調査が長引く多くの原因は、「書類の準備不足」または「説明担当者が不在」であること。
事前に資料を整理しておけば、1時間以内で終わるケースが大半です。
🔹調査当日の流れ
年金事務所から調査の通知が届くと、指定日時に事業所へ担当官が来訪するか、あるいは事業所が年金事務所に出向く形で実施されます。
【主な流れ】
- 事前説明(5~10分)
調査の目的・対象期間などを担当官が説明します。 - 書類確認(30分~1時間)
以下の資料を中心にチェックされます。
- 賃金台帳・出勤簿
- 雇用契約書
- 賞与支払届・算定基礎届の控え
- 社会保険加入状況の確認資料 - 質疑応答・指摘事項の説明(15~30分)
報酬額の修正が必要な場合、訂正届の提出を求められることがあります。 - 結果報告・署名(10分程度)
調査票への署名・押印で終了です。
🔹実際の事例
【事例①:従業員8名の小規模事業所】
年金事務所から「算定基礎届の確認」として調査の案内があり、社労士が同席。
書類を整えておいたため、確認は約40分で終了。特に指摘なし。
【事例②:従業員30名・昇給頻繁な会社】
月額変更届と賃金台帳の内容に差異があり、説明対応に時間を要した。
結果、修正届提出の指導を受け、所要約2時間。
【事例③:報酬改定届の未提出があったケース】
指摘事項の確認と届出指導で3時間超。
その後、再提出と報酬改定手続きの是正報告を実施。
💬 まとめると
「書類が整理されているほど短時間で終わる」というのが実務上の実感です。
🔹実務担当者が準備しておくべき書類
調査前に以下の書類を整理しておくとスムーズです。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 賃金台帳 | 基本給・手当・控除などが明確に記載されているか |
| 出勤簿 | 労働時間と賃金の整合性確認用 |
| 雇用契約書 | 契約内容・賃金の支払い基準の確認 |
| 算定基礎届控え | 提出内容と実際の報酬額との整合性 |
| 社会保険加入状況一覧 | 適用漏れがないかの確認 |
🔹社労士からのアドバイス
- 「調査=悪いこと」ではなく、制度適正化のサポートと捉える
- 調査通知が届いたら、早めに社労士へ連絡・相談する
- 書類の整備・説明役の明確化でスムーズな対応が可能
✅ 社労士が同席することで、調査官とのやり取りや書類説明をスムーズに行うことができます。
万が一、指摘事項が出てもその場で是正対応を検討できるのが大きなメリットです。
📘参考法令
- 健康保険法・厚生年金保険法
- 厚生労働省『算定基礎届等に関する調査の実施について』
- 社会保険適用事業所調査に関する実務資料(日本年金機構)
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