労務管理

【実務で迷いがち】フレックスタイム制の代休・振替休日の扱いをわかりやすく解説

フレックスタイム制を導入している企業では、「代休」「振替休日」の取り扱いを誤ると、残業代の未払い休日労働のトラブルにつながることがあります。
今回は、よくある質問をもとに、実務での正しい扱い方をわかりやすく解説します。

① フレックスタイム制で代休を取得した日の労働時間は「0時間」

💡ポイント

フレックスタイム制を適用している従業員が代休を取得した場合、その日の労働時間は「0時間」として扱います。

代休は「休日出勤の代わりに休ませる制度」であり、休んだ日には実際の労働がないため、清算期間中の実労働時間には含めません

📘清算期間における考え方

フレックスタイム制では、1か月や3か月といった清算期間の総労働時間を定め、その範囲内で労働時間を調整します。
代休を取った日は「労働ゼロ日」としてカウントするため、次のように管理します。

区分取り扱い
実労働時間含めない(0時間)
賃金計算通常の所定労働日分の賃金は発生しない
時間外労働の判断清算期間全体で実労働時間が総労働時間を超えた分のみ割増対象

🔍事例

例:清算期間が1か月、総労働時間が160時間の社員Aさん
・休日出勤 8時間 → 翌週に代休を取得
→ 代休の日は0時間扱い。
清算期間の実労働時間は160時間のままでOK。

📚 参考:厚生労働省『フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き』
https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf

② 「振替休日が未消化」は存在しない

💡ポイント

「振替休日が未消化」という状態は法的に存在しません
振替休日とは、「あらかじめ労働日と休日を入れ替える制度」であり、事前に振替日を特定しておくことが必須です。

もし、事前に休日を振り替えずに休日出勤させた場合は、休日労働として扱われ、35%以上の割増賃金が必要です。

📘整理表

区分振替休日代休
定義あらかじめ休日と労働日を交換する制度休日出勤後に代わりの休みを与える制度
法的根拠労働基準法第35条任意制度(会社の裁量)
割増賃金不要(正しく振替済みの場合)必要(休日出勤扱い)
未消化時の扱い発生しない与えなくても法違反ではない

🔍事例

例:土曜日を休日、月曜日を出勤日にしていたが、急きょ土曜出勤に変更し、代わりの休日を決めなかった。
→ 振替日が特定されていないため「休日出勤」となり、割増賃金が必要。

📚 参考

③ フレックスタイム制でも「法定休日の振替」は可能

フレックスタイム制を導入している従業員が法定休日に出勤する場合でも、
就業規則に「休日を振り替えることができる」との定めがあれば、振替休日の付与が可能です。

ただし、振替休日の日付を事前に特定しておくことが必要です。
「後から指定」は代休扱いとなり、休日労働の割増賃金が発生します。

🔍事例

例:日曜日(法定休日)に出勤させ、翌週の水曜を休日に変更していた場合
→ 振替休日として有効(割増賃金不要)。
ただし、就業規則に振替の定めが必要。

📚 根拠法令

  • 労働基準法第35条(休日)
  • 昭和63年3月14日 基発第150号・婦発第47号(解釈例規)

まとめ:代休・振替休日のポイントを押さえてトラブル防止!

項目代休振替休日
発生タイミング休日出勤の後出勤前に事前指定
賃金の扱い休日労働の割増賃金を支払う割増賃金不要
清算期間の扱い(フレックスタイム制)実労働時間に含めない労働日として扱う
未消化時の取扱い法的義務なし未消化の概念なし

💬実務担当者へのアドバイス

  • フレックスタイム制を導入している場合、「清算期間中の労働時間管理」が非常に重要です。
  • 就業規則に代休・振替休日の運用ルールを明記しておくことで、労働時間の誤算や割増賃金のトラブルを防止できます。
  • 特に「休日出勤の際の取り扱い(代休or振替)」を社内ルールとして統一しておきましょう。

🟦まとめリンク

📘 厚生労働省『フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き』
https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf
📘 厚生労働省『振替休日と代休の違いは何か。』
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_12.html

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