■ 質問
「男性社員が出生時育児休業(いわゆる“産後パパ育休”)を4週間取得し、その後すぐに育児休業を1週間取得しました。この場合、賞与の社会保険料は免除の対象になりますか?」
■ 結論
該当します。
出生時育児休業の取得後、1日も復職せずに連続して育児休業を取得し、休業期間の合計が1か月を超える場合は、賞与にかかる社会保険料の免除対象になります。
■ 解説
賞与にかかる社会保険料は、通常、支給月に在籍していれば徴収対象になります。
ただし、厚生年金法および健康保険法では、次の条件をすべて満たす場合に「保険料免除」となります。
<免除の主な条件>
- 育児休業等を1か月を超えて取得していること
- 休業期間中に賞与が支給されること
- 支給基礎日数が17日未満(短時間勤務者は11日未満)であること
出生時育児休業と通常の育児休業は、制度上は別の休業ですが、復職を挟まずに連続して取得した場合は、ひとつながりの「育児休業」として扱われます。
したがって、休業期間の合計が1か月を超えると、賞与の保険料免除の対象となります。
■ 事例で見る運用イメージ
<事例>
- 対象者:男性社員(子の出生後に休業)
- 出生時育児休業:2025年5月1日〜5月28日(4週間)
- 育児休業:2025年5月29日〜6月4日(1週間)
- 復職日:2025年6月5日
- 賞与支給日:2025年6月10日
<判断>
- 出生時育児休業+育児休業の合計休業期間:35日(1か月超)
- 復職を挟まず連続して休業している
→ 社会保険料免除の対象となる
この場合、6月10日に支給された賞与については、健康保険・厚生年金保険の保険料は徴収不要です。
■ 実務上の注意点
- 「復職日」が1日でも入ると連続扱いにならない
→ 休業を連続させたい場合は「復職日」を設けず、育児休業をそのまま継続取得する形を取ります。 - 事業主は届出が必要
→ 「育児休業等取得者申出書」を健康保険・厚生年金保険の管轄機関へ提出します。
(電子申請の場合は「e-Gov」または「日本年金機構電子申請システム」より提出可能) - 支給日と休業期間の関係に注意
→ 賞与が支給された月に休業中でなければ免除されません。
■ 根拠法令・参考情報
- 厚生年金法 第81条の2(育児休業期間中の保険料の徴収の特例)
- 健康保険法 第159条
- 日本年金機構「育児休業等期間中の保険料免除の取扱いについて」
■ まとめ
出生時育児休業の後に育児休業を途切れずに連続して取得し、合計1か月を超える場合、賞与にかかる社会保険料は免除されます。
実務上は、「復職日」を挟まないスケジュール設定と、日本年金機構への届出忘れ防止がポイントです。