複数の事業場を持つ会社では、就業規則の作成・変更時に、
「事業場ごとに届出が必要なのか?」
「本社でまとめて届け出ても良いのか?」
という問い合わせを多くいただきます。
実は、一定の条件を満たす場合、本社で一括して届け出ることが可能です。
その際に使用する書類が、今回ご紹介する
「就業規則本社一括届出対象事業場一覧表」です。
■ 「就業規則本社一括届出対象事業場一覧表」とは?
この様式は、就業規則を本社で一括届出する際に必要となる事業場一覧表です。
一覧表には以下を記載します:
- 一括届出の対象となる 全事業場の名称
- 所在地・電話番号
- 各事業場を管轄する労働基準監督署名
- 本社名 など
この一覧表を添付し、
「本社を管轄する労働基準監督署」へまとめて提出します。
■ 一括届出が認められるケース
厚生労働省は、次のような場合に「本社一括届出」を認めています。
✔ 全事業場で 同一の就業規則 を使用している
✔ 就業規則の内容が すべての事業場に適用される
✔ 本社で 労務管理を統括 している
✔ 地域ごとの差異(休日、賃金体系など)がない
※異なる制度を運用している事業場がある場合は、一括届出はできません。
■ 一括届出に必要な書類
【提出書類一覧】
- 就業規則本体(全事業場分)
- 労使協定・意見書(事業場ごとに必要)
- 就業規則本社一括届出対象事業場一覧表(今回の様式)
- 届出書(労基署の所定様式)
※各事業場の従業員代表が記載した意見書は必須で、事業場が複数あってもまとめて本社に添付して提出できます。
■ 実際の様式はどんな内容?(構成の確認)
アップロードされた PDF を見ると、以下の項目が並んでいます。
- 事業場名
- 所在地・電話番号
- 管轄労働基準監督署名
- 備考欄
- 事業場数
など
これは、本社がどの事業場を統括し、どの労基署に分散しているのかを明確にするための様式です。
■ 【事例】本社一括届出が役立つケース
◆ 事例①:全国に店舗を持つ小売企業
- 北海道~九州に20店舗以上
- 就業規則は全店共通
- 労基署が多数に分散している
以前は各店舗で提出していたが、管理が煩雑でミスも発生。
→ 一括届出に切り替えることで、提出漏れがなくなり、本社での管理が容易に。
◆ 事例②:支店ごとに担当者が異なり、届出時期がバラバラだったケース
- 支店ごとに人事担当が存在
- 就業規則変更のたびに「誰が出したのか」「いつ提出したのか」が不明に
- 監督署からの指導時に書類の所在が曖昧になった
→ 本社一括にすることで、一本化した管理が可能に。
◆ 事例③:就業規則の改定頻度が高い業種
IT企業・介護事業者・飲食店など、法改正対応が頻繁に必要な業界では、提出回数が増えます。
→ 毎回、全事業場に郵送する負担を削減できる。
■ 実務担当者が注意すべきポイント
✔ 一括届出は「本社を管轄する労基署」に提出する
支店の管轄署ではなく、本社のみ。
✔ 意見書は事業場ごとに必要
一括届出でも、従業員代表は事業場ごとに署名が必要です。
✔ 事業場により制度が違う場合は一括不可
地域独自の賃金制度・休日制度があると一括届出はできません。
✔ 変更後は全事業場へ迅速に周知すること
電子メール・イントラ・掲示など周知方法を明確に。
■ まとめ
「就業規則本社一括届出対象事業場一覧表」は、
複数の事業場を持つ企業が、就業規則を本社でまとめて届け出るために必要な様式です。
一括届出を活用することで、
- 提出漏れの防止
- 労務管理の効率化
- 会社全体の規程統一
が実現できます。
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