労務管理

【実務解説】配偶者が転勤になったら、育児休業を延長できる?|ひらおか社会保険労務士事務所

結論

子が1歳になった時点で職場復帰を予定していた場合でも、
配偶者が転勤となり、一緒に住むことができなくなる場合は「育児休業の延長」が認められます。

育児休業の延長が認められる主なケース

育児休業は、原則として子が 1歳に達する日まで 取得できます。
ただし、以下のいずれかの理由がある場合には、最大で2歳まで延長が可能です。

延長理由内容
① 保育所に入れない申し込みをしても入所できなかった場合(待機児童など)
② 配偶者が子の養育ができない配偶者の死亡・疾病・転勤・離婚・出産などにより、養育が困難となった場合

今回のケース(配偶者の転勤)は②に該当

「子を養育する予定の配偶者が転勤により別居することになった」場合は、
「養育できない状態」と判断され、延長の対象となります。

この場合、
申請者自身(母または父)が育児休業を延長し、引き続き子を養育できるようになります。


事例①:職場復帰直前に配偶者の転勤が決定したケース

事例
Aさんは育児休業を1歳まで取得し、4月に職場復帰予定でした。
しかし、夫が急遽4月から転勤となり、単身赴任することに。
Aさんは保育所への入園もまだ決まっていません。

結果
→ 配偶者が転勤で一緒に住めなくなるため、
 「配偶者が養育できない事由」に該当し、育児休業を延長可能。
 保育所に入れない場合と同様に、最長で子が2歳になるまで取得できます。


事例②:配偶者が転勤後も定期的に帰宅しているケース

事例
Bさんの夫は転勤先が近く、週末には自宅に戻ってきます。
ただし、平日は不在で、子の世話は実質的にBさんが行っています。

結果
→ 配偶者が「日常的に養育を行うことができない」と判断されるため、
 延長の対象になる可能性が高い。

実際には、

  • 会社への転勤命令の写し
  • 赴任地と自宅の距離
  • 日常的な養育が困難であることの申立書
    などを添付して申請するのが一般的です。

実務担当者が注意すべきポイント

  1. 「配偶者が養育できない」理由を客観的に証明できる資料を添付
     → 例:転勤辞令、勤務証明書、転居先住所の記録など
  2. 延長申請の期限を守る
     → 原則として、子が1歳に達する日の前日までに申請が必要です。
  3. 延長期間の設定に注意
     → 一度に2歳までではなく、「1歳6か月まで」→「2歳まで」と段階的に延長申請を行います。

延長の手続きの流れ(実務担当者向け)

手続き提出先注意点
育児休業延長申出書勤務先(会社)育児休業規程に基づき、会社承認が必要
育児休業給付金延長申請書ハローワーク保育所不承諾通知書や転勤辞令などの添付が必要
社会保険料免除申請年金事務所育児休業の延長期間に合わせて免除期間を更新

まとめ

状況延長できるか必要な書類の例
配偶者が転勤により別居〇 延長可能転勤辞令・住所証明書類など
配偶者が近距離転勤(通勤可能)× 原則延長不可
保育園に入れない〇 延長可能不承諾通知書
配偶者が病気・出産・死亡などで養育不可〇 延長可能医師の診断書など

根拠法令・参考情報


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