〜「高年齢被保険者制度」のポイントをわかりやすく解説〜
❖ 結論:65歳を超えても「雇用保険の被保険者」になれます
平成29年(2017年)の雇用保険法改正により、
65歳以上の方も「高年齢被保険者」として雇用保険の対象になりました。
つまり、年齢に関係なく、以下の被保険者要件を満たしていれば、
65歳を超えていても雇用保険に加入できます。
❖ 被保険者となるための基本要件(65歳以上も同じ)
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ✅ 所定労働時間 | 1週間の所定労働時間が 20時間以上 |
| ✅ 雇用見込み | 31日以上の雇用見込みがある |
| ✅ 適用事業所 | 雇用保険の適用事業所であること |
この条件を満たす場合、
65歳を超えていても自動的に雇用保険の被保険者資格が取得されます。
❖ 高年齢被保険者とは?
65歳以上で新たに雇用された方、または
65歳に達した後も引き続き雇用されている方のうち、
上記の要件を満たす人を「高年齢被保険者」といいます。
65歳以上でも、一定の保険料を納付する代わりに、
次のような給付を受けることができます。
- 高年齢求職者給付金(雇用終了時に支給)
- 教育訓練給付金(条件あり)
❖ 【実務事例】65歳以上のパート社員を雇用したケース
事例:介護事業所での採用ケース
- 採用時年齢:67歳
- 雇用形態:パートタイマー
- 週の所定労働時間:25時間
- 雇用契約期間:6か月更新
この場合、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあるため、
高年齢被保険者として雇用保険の加入対象になります。
✅ 実務ポイント
- 65歳以上でも「資格取得届」を提出する必要があります。
- 70歳に達するまでは雇用保険の対象です。
❖ 【特例】複数の事業所で働く場合
令和2年1月からの改正により、
65歳以上で複数の会社に勤務する方でも、
次の要件を満たせば雇用保険の被保険者になることができます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 勤務先 | 2つの事業所で雇用されている(いずれも雇用保険適用事業所) |
| 労働時間 | 各事業所で1週間の所定労働時間が 5時間以上20時間未満 |
| 合計労働時間 | 2つの事業所を合計して 20時間以上 |
| 雇用見込み | 両方の事業所で 31日以上 の雇用見込み |
| 手続き | 本人がハローワークに申出を行う |
▶ 手続きの流れ
- 本人がハローワークで「複数就業要件該当者申出書」を提出
- 申出日から雇用保険の被保険者となる
💡この制度により、複数の職場で働く高年齢者も、
雇用保険の給付を受けられるようになりました。
❖ 【注意点】70歳以上は対象外
雇用保険は、70歳に達した日の翌日以降は適用除外となります。
ただし、70歳以上でも働く方は増えており、
労災保険や社会保険(健康保険・厚生年金)との関係整理が重要です。
❖ 根拠法令
- 雇用保険法 第6条(適用除外)
- 雇用保険法 第37条の2(高年齢被保険者)
- 雇用保険法 第37条の5(高年齢被保険者の特例)
- 雇用保険法施行規則 第65条の7
❖ まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ✅ 65歳を超えても加入できる | 要件を満たせば「高年齢被保険者」として雇用保険適用 |
| ✅ 複数就業者の特例あり | 2つの事業所での合計時間が20時間以上であれば申出により加入可 |
| ✅ 70歳到達後は除外 | 70歳以降は雇用保険の対象外になる |
65歳以上の雇用は、企業の人手確保の面でも今後ますます重要になります。
加入手続きや要件判断で迷った場合は、専門家に早めに相談しましょう。
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