労務管理

【2026年度開始】子ども・子育て支援金制度とは?企業が知っておくべきポイントをわかりやすく解説|ひらおか社会保険労務士事務所

2026年度(令和8年度)から新たにスタートする
「子ども・子育て支援金制度」 について、企業が押さえるべきポイントをわかりやすくまとめました。

制度が始まると 医療保険料とあわせて事業主・従業員が拠出 する形となり、企業の給与・社会保険の実務にも影響があります。

1. 子ども・子育て支援金制度とは?

この制度は、少子化対策を抜本的に強化するために創設された
「全世代・全経済主体で子育て世帯を支える仕組み」 です。

支援金は、医療保険料と同様に
被用者(従業員)と事業主が拠出する“保険料方式” で集められます。

▼支援金の使い道(PDFより)

支援金は次のような制度の財源として使われます。

出産・子育て応援給付金(10万円相当)

共働き・共育てを推進する経済支援
 (出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金など)

国民年金第1号被保険者の育児期間中の保険料免除

こども誰でも通園制度

児童手当の拡充分(高校生までの支給など)

2. いつから始まる?(スケジュール)

制度は 2026年度(令和8年度)から本格スタート します。

年度主な動き
2024〜25年度育児・出産関係給付の拡充が先行して開始
2026年度子ども・子育て支援金制度の拠出開始(平均 月250円)
2027年度平均 月350円
2028年度平均 月450円

※金額は加入者一人当たりの平均であり、標準報酬額によって異なります。

3. 誰が負担するの?

●対象

  • 協会けんぽ加入者
  • 健康保険組合加入者
  • 共済組合加入者
  • 国民健康保険加入者
  • 事業主

●ポイント

  • 医療保険料と同じく「労使折半」が基本
  • 国民健康保険は軽減措置あり(子ども分の均等割10割軽減)

4. 企業として押さえるべきポイント

① 社会保険料計算に「支援金率」が追加される

健康保険料率とは別に、
「子ども・子育て支援金率」 を設定すると法律で規定されています。

つまり…

健康保険料 = 基本保険料 + 介護保険料(40〜64歳) + 子ども・子育て支援金

となり、給与計算での控除項目が実質1つ増えるイメージです。

② 事業主負担分も増える(労使折半)

支援金は保険料と同様に
従業員と事業主が折半

企業の負担は確実に増えるため、
今後の人件費試算にも反映する必要があります。


5. 実務に役立つ:企業向け「具体的な影響」チェックリスト

以下は社労士として特に重要と考えるポイントです。

✔ 給与計算ソフトの対応は必須

支援金率の追加が必要。

✔ 賃金台帳・給与明細の項目追加

「子ども・子育て支援金」欄が想定。

✔ 社会保険料控除の説明が必要

従業員から「保険料が増えている」と質問が来る可能性。

✔ 36協定・就業規則には影響なし

ただし「社会保険料控除」規定内に説明追加を検討。

✔ パート社員も対象

労働時間にかかわらず、健康保険加入者全員が対象。


6. 事例:企業内で実際に想定されるケース

▶ ケース①:従業員から「給与が減っている」と質問された

【対応例】
「2026年度から全国一律で導入される『子ども・子育て支援金』が健康保険料に追加されています。
これは国の少子化対策の財源として、医療保険料と同じ仕組みで徴収されるものです。」

→ あらかじめ全体連絡をしておくとトラブル防止になります。


▶ ケース②:給与計算ソフトに追加項目が出てきた

【対応例】
法改正によるものなので、正しく反映しないと納付額の差異が発生します。
設定ミスは「納付漏れ」「過誤納」につながるため、運用開始前に必ず確認が必要です。


▶ ケース③:企業負担も増えるが予算に入れていなかった

【対応例】
支援金率が段階的に上がるため、
2026年→2027年→2028年 と事業主負担も上がります。

人件費計画に反映し、
必要に応じて固定費の見直しを行うことが推奨されます。

7. 支援金制度で改善される「子ども1人あたりの給付額」

制度により高校生までで
約146万円の給付改善 が見込まれています。

(現行の児童手当208万円とあわせると、合計約352万円)

8. まとめ:企業は「2026年度の実務対応」が鍵

子ども・子育て支援金制度は
企業の給与計算・社会保険実務に確実に影響します。

▼特に重要なポイント

  • 健康保険料に「支援金率」が追加
  • 労使折半で事業主負担が増える
  • 給与計算ソフトの設定変更が必要
  • 従業員への説明が求められる
  • 2026年〜2028年は段階的に負担増

制度開始前に、企業としての準備を進めておくことで、トラブル予防・実務の効率化につながります。


▼参考資料

こども家庭庁『子ども・子育て支援金制度について』
(PDF:子ども・子育て支援金制度の創設)
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkin

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