〜今年の年末調整で必要な精算・実務のチェックポイントをわかりやすく解説〜
ひらおか社会保険労務士事務所
2025年11月19日に公布された「所得税法施行令の一部改正」により、
自動車やバイク、自転車などの交通用具で通勤する従業員の通勤手当の非課税限度額が引き上げ られました。
(2025年4月1日以後に支払う通勤手当から適用)
この改正に伴い、今年の年末調整で精算が必要になるケースが発生するため、企業の実務担当者にとって早めの対応が必須です。
本記事では、PDF資料の内容をもとに、
改正のポイント・適用時期・よくある誤り・実務で注意すべき事例 をわかりやすく解説します。
1. 今回の改正のポイント
■ 対象となるのは「自動車・バイク・自転車通勤」の従業員
電車・バスなど 公共交通機関で通勤する従業員は対象外 です。
■ 限度額が引き上げられた
支給額が限度額を超える従業員は、
これまで課税されていた部分が非課税となる可能性 があります。
これにより、年末調整で税金の精算が必要となるケースが発生します。
2. 改正後の非課税限度額が適用される「時期」に注意
非課税限度額の判断は、
いつ支払われるべき通勤手当であるか により決まります。
▼ 改正後の限度額が適用されるケース(2025年4月1日以後に支払うべき通勤手当)
- ① 契約・慣習で支給日が決まっている → その支給日
- ② 支給日が決まっていない → 実際に支給した日
- ③〜④ 規程改訂による差額支給 → 規程の効力発生日 など
詳細はPDFに記載のとおりです。
3. 改正後の限度額が適用されないケース
以下の場合は 改正前の非課税限度額のまま です。
- 2025年3月31日以前に支払われた通勤手当
- 本来3月31日以前に支払うべきだったが、4月以降に支給した通勤手当
- 上記の差額追加分
4. 年末調整で「精算が必要な場合」
改正後の限度額を適用すると、
すでに課税されていた部分が非課税扱いに変わるケース があります。
▼ よくあるパターン
- これまで 30,000円 を支給
- 改正前の限度額:28,000円 → 2,000円が課税
- 改正後の限度額:32,300円 → 全額非課税に変更
つまり、過去に課税処理していた 2,000円分 × 該当月数 を年末調整で精算する必要がある ということです。
事例や源泉徴収簿の記入方法もPDFで詳しく示されています。
5. 【実務で起きがちなケース】事例で理解する改正対応
◆ 事例①:すでに課税していた通勤手当が「非課税」に変わる
状況:
4〜10月の7か月間、非課税限度額を超える通勤手当を支給し、月2,000円を課税扱いしていた。
変更:
改正後は全額非課税となる。
対応:
年末調整で
課税済み 2,000円 × 7か月=14,000円
を総支給額から差し引き、再計算が必要。
実務ポイント:
- 給与システムで自動計算されるか確認
- 手計算の場合は源泉徴収簿の調整を忘れない
- 従業員への通知文の整備が必要な場合も
◆ 事例②:退職者がいる場合
年途中退職者は年末調整が行われないため、
源泉徴収票を訂正し、再交付する必要あり。
退職者自身が確定申告で精算するケースも発生します。
◆ 事例③:死亡・海外転勤者がいる場合
非課税限度額以下の場合は対応不要。
超えていた場合のみ再計算が必要。
企業側の確認ポイント:
- 通勤手当の支給履歴
- 限度額判定
- 年調再計算の要否
6. 労務担当者が今すぐ行うべきこと
実務負担が増える年末調整。
特に今回の通勤手当改正では、以下のチェックが必須です。
✔ 通勤手当の支給一覧を確認
対象者(交通用具通勤者)に限ることに注意。
✔ 4月以降支払い(支払うべき)手当の限度額を再判定
✔ 限度額超過分を課税処理していないか確認
課税していた場合 → 年末調整で精算必要。
✔ 退職者・長期不在者の処理を整理
源泉徴収票の再交付が必要か確認。
✔ 給与規程の記載確認・必要なら改訂
差額支給の取り扱いに影響する場合があります。
7. まとめ:今年の年末調整は“いつもより注意が必要”
今回の改正は、通勤手当の支給状況・給与規程・支給日の取り扱いに大きく関わるため、企業の実務担当者は早めに準備することが重要です。
特に、
- 課税 → 非課税に変わるケース
- 退職者がいる場合
- 支給日が曖昧なケース
は、誤ると差し戻しや従業員からの問い合わせが増える原因となります。
不安がある場合は、年末調整前に社労士へ相談することを強くおすすめします。
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