労務管理

【実務解説】「年収の壁」178万円へ引き上げへ

― 令和8年度税制改正合意で企業実務はどう変わる? ―
|ひらおか社会保険労務士事務所

はじめに(経営者の皆さまへ)

「年収の壁対策で、シフト調整に苦労している」
「パートさんが『これ以上働けません』と言ってくる」

このようなお悩みを抱える企業は、非常に多いのではないでしょうか。

令和7年12月18日、
自民党と国民民主党が、いわゆる『年収の壁』を178万円まで引き上げることで合意しました。
これは、令和8年度税制改正に向けた重要な動きです。

本記事では、
✔ 合意内容のポイント
✔ 企業実務への影響
✔ 経営者が今後備えておくべき点

を、わかりやすく解説します。

1.今回の合意のポイント(整理)

①「103万円の壁」を178万円へ引き上げ

いわゆる「103万円の壁」(所得税の基礎控除+給与所得控除)について、
178万円まで引き上げることで合意されました。

👉 これにより、
給与所得者の約8割が対象となり、手取り増が見込まれる
とされています。

② 所得税の人的控除を3年以内に抜本見直し

  • 給付付き税額控除などの新制度導入を念頭に
  • 3年以内に抜本的な制度見直し

中長期的に、
「壁そのものをどうするか」という議論が続く見込みです。

③ 高校生の扶養控除は当面維持

現行の高校生扶養控除は、
当面、廃止せず維持される方向です。

④ 全業種対象の大胆な設備投資減税

  • 建物を含む即時償却・税額控除
  • 繰越控除も可能

中小企業にとっても、
設備投資を後押しする内容となっています。

⑤ 自動車税・軽自動車税の環境性能割を廃止

  • 取得時の負担軽減・簡素化
  • 地方税の減収分は国が手当て

2.企業実務への最大の影響はどこか?

最大のポイントは「パート・アルバイトの働き方」

今回の合意で、
「税金を気にして働く時間を抑える」必要性は大きく後退する可能性があります。

✔ これまで
「103万円を超えないように…」
✔ 今後
「178万円までは税負担が軽い」

という意識変化が起こると考えられます。


3.【実務事例】小売業で想定される変化

事例:パート比率が高い小売業

  • 年末に「シフトを減らしてほしい」という要望が続出
  • 繁忙期に人手不足が慢性化

👉 今回の改正が実現すれば、

  • パート従業員が安心して勤務時間を増やせる
  • シフト調整の自由度が上がる
  • 人手不足の緩和が期待できる

といった効果が見込まれます。


4.注意点①「社会保険の壁」は別問題

ここで注意が必要なのが、

👉 178万円の壁は「所得税」の話
👉 社会保険の壁(106万円・130万円)は別制度

という点です。

つまり、

  • 税金は軽くなっても
  • 社会保険加入要件を超えると
    • 本人負担が発生
    • 手取りが一時的に減る

というケースは、引き続き起こります。


5.注意点②「まだ確定ではない」

今回の内容は、

  • 与党間の「合意」
  • 令和8年度税制改正法案の成立が前提

です。

👉 現時点では制度はまだ変わっていません。

そのため、

❌ 今すぐ給与設計を変える
⭕ 情報収集・社内説明の準備を進める

というスタンスが重要です。


6.経営者が今から準備すべきこと

✔ パート・アルバイトへの説明準備
✔ 「税の壁」と「社会保険の壁」を分けて整理
✔ 勤務時間設計・シフト運用の見直し検討
✔ 税理士・社労士との情報共有

特に、
「壁がなくなった」と誤解されない説明が重要になります。


7.まとめ(経営者の皆さまへ)

✔ 「年収の壁」178万円引き上げは大きな転換点
✔ 人手不足対策・働き方改善の追い風になる可能性
✔ 一方で、社会保険の壁は引き続き要注意
✔ 制度確定までは慎重な情報整理が必要

制度改正は、
正しく理解すれば「経営の味方」になります。


「年収の壁」への対応に不安がある経営者さまへ

「従業員への説明、どうしたらいい?」
「社会保険との関係を整理してほしい」

そのようなお悩みは、専門家と一緒に整理するのが近道です。

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