|ひらおか社会保険労務士事務所
はじめに(経営者の皆さまへ)
休職制度を設けている企業において、次のような場面は少なくありません。
- 休職期間が満了した
- しかし、従業員から復職の申出がない
- 就業規則には「休職期間満了後、復職できない場合は退職」と書いてある
この場合、
「申出がないのだから、規則どおり退職扱いで問題ないのでは?」
と考えてしまいがちです。
しかし実務上、これは非常に危険な判断になり得ます。
1.結論:自動的に雇用契約を終了させることはできません
就業規則に、
傷病休職期間満了後、復職できない場合は雇用契約を終了する
という定めがあったとしても、
休職期間満了=自動退職とはなりません。
裁判所は、
この「休職満了後退職」を実質的には「解雇」と同視しています。
そのため、
- 労働契約法第16条(解雇権濫用法理)
- 労働基準法第20条(解雇予告)
がそのまま適用されます。
2.「休職満了後退職」は“解雇”として厳しく判断される
休職満了後退職が有効となるためには、
客観的合理性と社会通念上の相当性が必要です。
これが認められない場合、
たとえ就業規則に定めがあっても、
👉 権利の濫用として無効
となる可能性があります。
3.裁判所が判断で重視する5つのポイント
裁判実務では、次の観点から総合判断されます。
① 休職期間は、治癒を待つために十分な期間だったか
② 元の業務より軽い業務・短時間勤務・業務軽減(リハビリ出勤)で対応できなかったか
③ ①②の判断において、主治医や産業医の意見を踏まえていたか
④ 休職延長やリハビリ出勤をしても、回復の見込みがなかったか
⑤ 退職させることが、制度趣旨を逸脱した不正な目的ではないか
「申出がなかったから」という理由だけでは、
この基準を満たすとはいえません。
4.【実務事例】復職申出がなく、トラブルになったケース
事例:中小企業(事務職)
- うつ病で6か月の私傷病休職
- 休職期間満了日まで、従業員から連絡なし
- 会社は「規則どおり自然退職」として処理
👉 後日、従業員側から
「解雇は無効」「解雇予告手当も支払われていない」
として紛争化。
結果的に、
解雇予告手当+和解金の支払いが発生しました。
5.解雇予告・解雇制限にも注意が必要
解雇予告(労基法20条)
休職満了後退職であっても、
- 30日前の予告
- または 30日分の解雇予告手当
が必要です。
「満了日=即退職」は原則NGです。
業務上傷病の場合(労基法19条)
休職理由が業務上の傷病と認定される場合、
- 解雇制限が適用され
- 休職満了後退職も原則不可
となります。
6.実務上の正しい対応フロー(重要)
休職期間満了が近づいたら、次の対応が不可欠です。
1️⃣ 満了日の30日以上前に通知
・満了日が近いこと
・復職希望の有無を確認すること
2️⃣ 復職の可否について
・診断書提出の依頼
・必要に応じて産業医面談
3️⃣ 復職不可と判断する場合
・その理由を整理・記録
・解雇予告(または手当)を行う
👉 「申出がなかったから終了」ではなく、
会社側からの意思確認と判断プロセスが極めて重要です。
7.まとめ(経営者の皆さまへ)
✔ 休職満了後退職は「自動退職」ではない
✔ 実質的には「解雇」として扱われる
✔ 客観的合理性・社会的相当性が不可欠
✔ 解雇予告・解雇制限にも注意
✔ 事前の意思確認と記録が最大のリスク対策
休職対応は、
感情ではなく「手続と記録」が会社を守ります。
休職・復職対応でお悩みの経営者さまへ
「この対応で問題ないのか不安…」
「就業規則の書き方が今の実務に合っているか分からない」
そのような場合は、トラブルになる前の確認が何より重要です。
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