労務管理

【実務解説】協会けんぽの医療分保険料率が9.9%に引き下げ?

令和8年度改定の可能性と経営者が押さえるべきポイント

(ひらおか社会保険労務士事務所)

2025年12月23日、全国健康保険協会(協会けんぽ)が開催した
「第139回 全国健康保険協会運営委員会」の資料が公表されました。

今回の議題は、令和8年度(2026年度)の平均保険料率など。
資料の中では、医療分の保険料率を全国平均9.9%とする試算も示されており、
現在の10.0%から引き下げとなる可能性が注目されています。

本記事では、

  • この「9.9%案」が何を意味するのか
  • 事業主・経営者にどのような影響があるのか

を、実務目線でわかりやすく解説します。

1.協会けんぽの「医療分保険料率」とは?

協会けんぽの健康保険料は、

  • 医療分
  • 後期高齢者支援金分
  • 介護分(40歳以上)

で構成されています。

今回話題となっているのは、
👉 医療分の保険料率(全国平均)です。

現在:10.0%
検討案:9.9%

※ 実際の保険料率は、最終的に都道府県ごとに決定されます。

2.なぜ「引き下げ案」が出ているのか?

運営委員会の資料では、次のような視点が示されています。

① 現役世代の手取り収入への配慮

  • 社会保険料負担が増え続けている
  • 可処分所得を圧迫している

② 中小企業の厳しい経営環境

  • 賃上げと社会保険料負担が同時進行
  • 人件費負担が限界に近い企業も多い

③ 定率保険料率の構造的問題

  • 賃金が上がるほど、保険料総額も増える
  • 賃上げ努力が、負担増につながりやすい

④ 令和8年度からの「子ども・子育て支援金」

  • 新たな社会保障負担の開始
  • 全体の負担バランスを考慮する必要性

👉 こうした事情を踏まえ、
「被保険者・事業主の負担水準が過度にならないようにすべき」
という意見が反映されたと考えられます。


3.【注意点】引き下げには慎重論も

一方で、委員会では次のような懸念も示されています。

  • 一度保険料率を下げると
    👉 財政が悪化した際に再引き上げが難しい
  • 医療費の伸び次第では
    👉 将来的な負担増リスクは残る

つまり、
「今回下がったから安心」ではない
という点が重要です。


4.【事例】保険料率の変動が企業に与える影響

事例①:従業員30名の中小企業の場合

前提

  • 平均月額報酬:30万円
  • 医療分保険料率:10.0% → 9.9%

影響(概算)

  • 1人あたり:月約300円の保険料減
  • 会社負担分:月約150円減
  • 年間:30名 × 約1,800円 = 約54,000円の負担減

👉 大きな金額ではありませんが、
積み重なると経営への影響は無視できません。


事例②:賃上げと同時進行の場合

  • 賃上げにより標準報酬月額が上昇
  • 保険料率が下がっても
    👉 保険料総額は増加するケース

👉 「率が下がる=負担が必ず減る」わけではない点に注意が必要です。


5.経営者が今、実務で意識すべきポイント

✔ 保険料率の変動を人件費計画に反映できていますか?
✔ 賃上げと社会保険料負担の関係を把握していますか?
✔ 従業員からの「手取り」に関する質問に説明できますか?
✔ 令和8年度以降の制度変更を踏まえた資金計画になっていますか?


6.まとめ|9.9%案は「負担軽減のサイン」だが油断は禁物

今回の資料から読み取れるのは、
👉 現役世代・中小企業への配慮を重視する姿勢
です。

ただし、

  • あくまで「案」であること
  • 将来的な再引き上げの可能性があること

は忘れてはいけません。

今後の正式決定と、
都道府県別保険料率の動向を注視する必要があります。


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