労務管理

【実務解説】厚生年金の保険料はどう決まり、どう納めるのか

経営者が押さえるべき計算・納付の基本と注意点

(ひらおか社会保険労務士事務所)

「厚生年金の保険料って、結局いくら払っているの?」
「標準報酬月額って、いつ決まって、いつ変わるの?」

経営者の方から、非常によくいただく質問です。
厚生年金の保険料は、人件費に直結する一方、仕組みを誤解しやすい制度でもあります。

この記事では、

  • 厚生年金保険料の決まり方
  • 納付の流れ
  • 実務でよくある注意点

を、経営者向けにわかりやすく解説します。


1.厚生年金の保険料はどうやって決まる?

① 基本の計算式

厚生年金の保険料は、次の計算式で決まります。

標準報酬月額 × 保険料率(18.3%)

この18.3%は、

  • 被保険者(従業員):9.15%
  • 事業主(会社):9.15%

折半負担します。

👉 経営者が「会社として負担している社会保険料」の中で、
最も割合が大きいのが厚生年金です。


② 標準報酬月額とは?

標準報酬月額とは、

  • 基本給
  • 各種手当(通勤手当・役職手当など)

を含めた毎月の報酬額を、
等級表に当てはめて区分した金額です。

※ 実際の支給額そのものではありません。


2.標準報酬月額は「いつ」決まる・変わる?

標準報酬月額は、次のタイミングで決定・改定されます。

① 入社時(資格取得時決定)

  • 入社時の見込み報酬をもとに決定
  • 資格取得届により手続き

② 年1回の定時決定(算定基礎届)

  • 毎年 4月・5月・6月 の報酬をもとに算定
  • 新しい標準報酬月額は 9月分保険料から反映

👉 最も重要な見直しタイミングです。


③ 随時改定(月額変更)

  • 固定的賃金が大きく変動した場合
  • 原則、3か月連続して差が生じたときに改定

👉 昇給・降給時は要注意です。


3.保険料は「いつ」「どのように」納める?

納付の流れ(重要)

  • 当月分の保険料
  • 👉 翌月末日までに納付

  • 4月分の保険料 → 5月末日までに納付

実務上のポイント

  • 給与からは 被保険者負担分のみ控除
  • 会社は
    • 従業員分(預かり金)
    • 会社負担分

合算して納付します。

👉 預かっているだけでも、納付義務は会社にあります


4.賞与にかかる厚生年金保険料

賞与にも、厚生年金保険料はかかります。

計算方法

  • 賞与額から 1,000円未満を切り捨て
  • これを 標準賞与額 とする
  • 標準賞与額 × 18.3%

※ 上限額あり(年3回まで合算で上限設定)


5.【事例】厚生年金の理解不足で起きたケース

事例①:昇給したのに保険料が変わらない?

状況

  • 7月に昇給
  • 社長「まだ保険料が上がっていない」

理由

  • 定時決定は9月反映
  • 昇給内容によっては随時改定にも該当しない

👉 すぐに変わらないのが正常なケースもあります。


事例②:賞与からの控除額が想定より多い

状況

  • 初めて賞与を支給
  • 従業員から「控除が多い」と不満

原因

  • 厚生年金・健康保険の賞与保険料を説明していなかった

👉 事前説明の有無がトラブルを防ぎます


6.経営者が押さえるべき実務ポイント

✔ 標準報酬月額は「実額」ではない
✔ 昇給=即保険料アップとは限らない
✔ 保険料は翌月納付
✔ 賞与にも保険料がかかる
✔ 従業員への説明不足はトラブルのもと


7.まとめ|厚生年金は「仕組み」を知れば怖くない

厚生年金の保険料は、

  • ルールが決まっている
  • 計算方法も明確

一方で、
タイミングや仕組みを誤解しやすい制度です。

経営者として、

  • 人件費管理
  • 従業員への説明
  • 法令遵守

のためにも、基本構造の理解は欠かせません。


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