労務管理

【実務解説】採用で年齢制限を設けるときに求人票へ記載すべき項目とは?|ひらおか社会保険労務士事務所

従業員の募集・採用を行う際、「できれば若い人を採りたい」「特定の年齢層に求人を届けたい」と考える企業も少なくありません。

しかし、採用時に年齢制限を設けることは原則として禁止 されています。
法律違反となると行政指導の対象になり、企業イメージにも影響するため注意が必要です。

本記事では、

  • 年齢制限が原則禁止されている理由
  • 例外的に年齢制限が認められるケース
  • 求人票に必ず記載すべき「例外事由」の書き方
  • 実務でよくある相談事例

をわかりやすく解説します。


1. なぜ採用で年齢制限を設けてはいけないのか

理由:すべての人に年齢にかかわらず均等な就労機会を確保するため

労働施策総合推進法(旧雇用対策法)では、
募集・採用における年齢での差別を禁止しています。

📌 根拠法令
・労働施策総合推進法 第9条
・労働施策総合推進法施行規則 第1条の3

年齢で入口を閉ざしてしまうと、働く意欲のある人の機会を奪い、職場の多様性も損なわれるため、法律で強く制限しているのが現状です。

2. 年齢制限が認められる「例外事由」とは?

原則は禁止ですが、次のような場合には 例外的に年齢制限が認められます
この場合、求人票に「例外事由◯号」と具体的理由を記載する必要があります。


① 例外事由1号:定年を上限とする場合

定年年齢を上限とし、その未満の年齢の人を募集する場合

【記載例】
例外事由1号:定年年齢が60歳のため


② 例外事由2号:法令で年齢制限がある場合

労働基準法などで年齢制限が設けられている業務(危険有害業務など)

【記載例】
例外事由2号:労働基準法62条の危険有害業務に該当するため


③ 例外事由3号イ:若年者のキャリア形成目的

  • 長期勤続によるキャリア形成を図りたい
  • 職務経験不問で採用する場合に限る

【記載例】
例外事由3号イ:長期的なキャリア形成を図るため


④ 例外事由3号ロ:技能・ノウハウの継承

特定の職種で人員構成が偏っており、特定の年齢層が著しく不足している場合に限定

【記載例】
例外事由3号ロ:電気通信技術者として不足している年齢層を募集するため
(当社の電気通信技術者:20~29歳10人、30~39歳2人、40~49歳8人)


⑤ 例外事由3号ハ:芸術・芸能分野の真実性

表現の真実性が求められる場合(子役など)

【記載例】
例外事由3号ハ:演劇の子役を募集するため


⑥ 例外事由3号ニ:高年齢者の雇用促進施策

60歳以上の高年齢者や就職氷河期世代など、国の施策を活用する場合

【記載例】
例外事由3号ニ:就職氷河期世代を募集するため


3. 求人票に記載が必要な内容(実務での注意点)

年齢制限を設ける場合、
以下の2点は必須です。


✔(1)例外事由の番号を明確に示す

例:

  • 例外事由1号
  • 例外事由3号イ

✔(2)具体的な理由の記載

※理由が曖昧だと行政指導の対象になります。


4. 【実務事例】企業からよく寄せられる質問


事例①:若い人を採用したいのですが「20~30代歓迎」と記載してもいい?

→ NGです。

年齢を限定せず、「若手活躍中」「未経験歓迎」であればOK。


事例②:定年60歳のため「60歳未満」と書いてもよい?

→ OKです。(例外事由1号に該当)

ただし、必ず以下のように書きます。

例外事由1号:定年年齢が60歳のため


事例③:危険物を扱う業務で18歳未満不可としたい

→ OK(例外事由2号)

労基法62条などの法令根拠を記載する必要があります。


事例④:今の技術者に30代が少なく、人材構成の偏りを解消したい

→ 条件を満たせば例外事由3号ロでOK

ただし、

  • 現在の年齢構成
  • 技能継承が必要な理由
  • どの年齢層が不足しているか

を具体的に示す必要があります。


まとめ:年齢制限を設ける場合は「例外事由」と理由の記載が必須です

採用における年齢制限は原則禁止ですが、
例外事由に該当すれば適切に設定することができます。

しかし、記載方法を誤ると法律違反になるリスク があるため、
求人票を作成する際には必ず専門家のチェックがおすすめです。


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