2025年12月24日、首相官邸において
規制改革推進会議(第26回)
および
日本成長戦略会議(第2回)
が開催されました。
その場で総理から、
「心身の健康維持」と「従業者の選択」を前提に、労働時間法制の在り方を多角的に検討する
との指示が出されたことが、大きな注目を集めています。
近年、「働き方改革関連法」の施行以降、
労働時間をめぐる制度は複雑化し、現場では「何が正解かわからない」状態が続いています。
本記事では、
- 今回示された新たな政府方針のポイント
- 労働時間法制が「混迷」と言われる理由
- 中小企業・経営者が今、実務で押さえておくべき点
- 実際に起こりやすい現場事例
を、わかりやすく解説します。
今回の会議で示された「労働時間法制」に関する主な方向性
「日本成長戦略会議」の資料では、年明け以降の取組として、次のような方向性が示されています。
① 働き方改革関連法「5年後の総点検」
- 働き方改革関連法施行後5年の総点検調査結果を公表
- 時期:2026年1月頃(目途)
👉 制度が「現場で機能しているのか」「過度な負担になっていないか」が検証されます。
② 柔軟な労働時間制度と36協定の活用支援
- フレックスタイム制、変形労働時間制などの現行制度の周知
- 中小企業における36協定の締結・活用支援
- 時期:~2026年夏頃
👉 「制度はあるが、使いこなせていない中小企業」を強く意識した内容です。
③ 労働時間法制そのものの在り方を多角的に検討
- 心身の健康維持
- 働く人の選択の尊重
- 意欲・能力を発揮できる労働環境
これらを前提に、
労働時間法制の政策対応を多角的に検討
→ 2026年夏頃に進捗整理
👉 ルールの「緩和」か「再整理」か、現時点では方向性は流動的です。
なぜ「労働時間法制は混迷している」と言われるのか
理由① ルールが増え、選択肢が多すぎる
- 原則的な法定労働時間
- 36協定
- 変形労働時間制
- フレックスタイム制
- 高度プロフェッショナル制度 など
👉 制度は増えたが、どれを選ぶべきか分かりにくい
理由②「健康確保」と「柔軟な働き方」の板挟み
- 長時間労働の是正は必要
- しかし、現場では
- 繁忙期
- 人手不足
- 顧客対応
により、一律管理が難しい
👉 経営者の判断負担が大きくなっています。
経営者が今、実務で意識すべきポイント
ポイント①「制度改正を待つ」より「現行法の整理」
現時点で、
👉 法改正が確定しているわけではありません。
そのため、
- まずは現行の労働時間管理が適正か
- 36協定の内容が形骸化していないか
- 実態と就業規則がズレていないか
を確認することが最優先です。
ポイント② 36協定は「出すため」ではなく「使うため」
実務事例①
36協定は毎年提出しているが、
実際の残業時間と照らし合わせた管理はしていなかった。
👉
- 上限時間を超えていないか
- 特別条項の発動要件を満たしているか
を日常的に確認する仕組みが必要です。
ポイント③ 柔軟な制度を「導入できない理由」を明確にする
実務事例②
フレックスタイム制を検討したが、
管理が難しそうで断念した。
👉
- 本当に制度が合わないのか
- それとも運用ルールが未整理なだけか
を整理することで、
無理のない制度選択が可能になります。
今回の動きで「見送られた」とされる法改正案
2025年初頭から議論されていた
「労働基準関係法制研究会」の報告書をベースとした法改正については、
- 今回の新たな政府方針を受け
- 令和8年通常国会への提出は見送られた
と報道されています。
👉 つまり、
一度リセットし、より大きな枠組みで再検討する段階に入ったと考えられます。
経営者にとっての「現実的な向き合い方」
- 制度改正の情報を追うことは大切
- しかし、現場の労働時間管理を後回しにしない
- 「知らなかった」では済まされないのが労働時間問題
今できる対策を着実に整えておくことが、
将来の制度変更にも耐えられる経営につながります。
まとめ|「動向注視」と「足元固め」を同時に
今回の会議は、
- 労働時間法制が大きな転換点にある
- しかし、方向性はまだ確定していない
ことを示しています。
だからこそ経営者には、
- 最新動向を押さえつつ
- 現行制度を正しく使い
- 現場が回る労働時間管理を整える
という現実的な対応が求められます。
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