厚労省が裁判例を整理して公表|経営者が今押さえるべきポイント
(ひらおか社会保険労務士事務所)
2025年12月23日、厚生労働省は、
「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」を公表しました。
この資料は、
- 無期転換直前の雇止め
- 無期転換申込を理由とする不利益取扱い
- 「多様な正社員(限定正社員など)」の契約内容の曖昧さ
といった、実務でトラブルになりやすい論点について、最高裁・高裁・地裁の裁判例をもとに整理したものです。
本記事では、経営者の皆さまが実務で注意すべき点を、できるだけ噛み砕いて解説します。
1.改めて確認|無期転換ルールとは?
有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、
労働者から申込みがあれば、期間の定めのない契約(無期契約)に転換しなければならない、というルールです。
👉 ポイントは
- 自動的に無期になるわけではない
- 労働者の「申込み」があって初めて成立する
という点です。
2.厚労省資料が特に問題視しているポイント
今回の資料で強調されているのは、次の2点です。
① 無期転換「直前」の雇止め
- 「5年を超えそうだから更新しない」
- 「無期転換されると困るから契約終了」
このような対応は、
👉 無期転換権を潜脱する目的と判断されるリスクが高い
と整理されています。
② 無期転換申込を理由とする不利益取扱い
- 配置転換
- 賃金引下げ
- 契約内容の一方的不利変更
などを行うと、違法と判断される可能性があります。
3.裁判例から学ぶ【実務で起こりがちな事例】
事例①:5年直前での雇止め(地裁・高裁レベルの裁判例)
事案
- 有期契約を更新し続け、5年直前で雇止め
- 更新期待が高く、業務内容・評価も安定
裁判所の判断
- 無期転換を回避する目的が強い
- 雇止めは無効と判断
👉 「更新の積み重ね」「業務の恒常性」が重要視されます。
事例②:無期転換後に労働条件を引下げ
事案
- 無期転換は認めたが
- 職務限定・賃金引下げを実施
裁判所の考え方
- 無期転換=「それまでと同一の労働条件」が原則
- 合理性や説明がなければ無効の可能性
👉 無期転換=「リセット」ではありません。
4.「多様な正社員」が問題になりやすい理由
最近増えているのが、
- 職務限定正社員
- 勤務地限定正社員
- 短時間正社員
いわゆる多様な正社員です。
裁判例で問題になった点
- 契約書に限定内容が明確に書かれていない
- 実態は通常の正社員とほぼ同じ
- 不利な場面だけ「限定」を主張
👉 裁判所は
「名称」ではなく「実態」を見ます。
5.経営者が今すぐ確認すべき実務チェックリスト
✅ 有期契約社員の通算契約期間を把握していますか?
✅ 無期転換が近い社員の更新理由を説明できますか?
✅ 無期転換後の労働条件は原則同一になっていますか?
✅ 多様な正社員の限定内容(職務・勤務地・時間)は書面で明確ですか?
✅ 実態が契約書どおりに運用されていますか?
6.まとめ|無期転換は「ルール対応」では足りません
今回の厚労省資料が示しているのは、
👉 形式ではなく、実態と説明責任が重要
というメッセージです。
無期転換や多様な正社員は、
- 人材定着
- 採用力向上
というメリットがある一方、
対応を誤ると紛争リスクが高い分野でもあります。
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