労務管理

【実務解説】社会保険の適用事業所を移転・名称変更した場合、従業員のマイナ保険証の手続きは必要?|ひらおか社会保険労務士事務所

近年、オフィス移転や組織改編に伴う事業所の名称変更が増えています。
経営者の方からよくいただく質問がこちらです。

❓質問1

「社会保険の適用事業所を同じ都道府県内で移転する予定です。
従業員のマイナ保険証や資格確認書で何か手続きは必要ですか?」

✅結論

同じ都道府県内で事業所を移転しても、従業員のマイナ保険証・資格確認書の手続きは不要です。

理由は、マイナ保険証や資格確認書には

  • 事業所所在地
  • 事業所名称

が記載されておらず、移転による記載事項の変更が発生しないためです。


❓質問2

「社会保険の適用事業所の名称を変更する予定ですが、
従業員のマイナ保険証や資格確認書の手続きは必要ですか?」

✅結論

名称変更があっても 従業員側の手続きは不要 です。

こちらも同様に、マイナ保険証には事業所の名称が記載されないため、
事業所名が変わっても個々の保険証の記載内容に影響しません。


📌 事業主が必要な手続きは「事業所情報の変更届」のみ

従業員の手続きは不要ですが、
会社側は必ず「事業所情報の変更届」を年金事務所へ提出 する必要があります。

変更届で必要となる主なケース

  • 事業所所在地の変更
  • 事業所の名称変更
  • 法人格の変更
  • 電話番号の変更 など

特に 所在地変更 は提出漏れが起きやすいので注意が必要です。


【実務で注意すべきポイント】

✔ 1. 移転前後で「所在地」や「業務内容」が変わる場合は要確認

同一都道府県内でも、適用事業所の継続性に影響するケースがあります。
例:事業所統廃合・業態変更など

必要に応じて、年金事務所と事前相談を。


✔ 2. マイナ保険証は自動更新される

マイナ保険証はオンライン資格確認データを参照しているため、
事業主が変更届を出せばシステム側で自動的に情報が反映されます。


✔ 3. 資格確認書(紙)の再発行も不要

軽微な変更では、紙の資格確認書も再発行されません。
※ただし、本人の希望がある場合は再発行することも可能。


【事例】A社が市内でオフィス移転したケース

■背景

大阪府内のA社(飲食業)は、同一市内で店舗兼事務所を移転。
経営者から次の相談がありました。

「移転に伴い、従業員のマイナ保険証の更新が必要ですか?」

■社労士としての対応

  • 従業員のマイナ保険証に住所・事業所名は記載されないため 手続き不要
  • ただし、会社として 「所在地変更届」を年金事務所へ提出する必要がある と説明
  • 労働保険の所在地変更届も同時に手続き
  • 移転後の郵便物が届くよう、年金事務所・協会けんぽへの連絡を実施

■結果

従業員の負担ゼロ、会社の手続きだけでスムーズに移転が完了しました。


【根拠法令】

健康保険法施行規則 第30条(事業主の氏名等の変更の届出)
事業主は、名称や所在地に変更があった場合、所定の期間内に届け出る義務があります。


✔まとめ:従業員の手続きは不要。だが「事業主の変更届」は必須!

内容手続きの必要性
事業所の移転(同一都道府県)❌ 従業員側の手続きなし
事業所の名称変更❌ 従業員側の手続きなし
会社側の変更届提出⭑ 必須(年金事務所へ)

📮 初回相談は無料です|ひらおか社会保険労務士事務所

事業所移転・名称変更の手続きは会社にとって大事な法的義務です。
「何を提出すればいいかわからない…」という経営者様は、ぜひご相談ください。

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