「ある日突然、社会保険の適用拡大の対象になると聞いたが、
何から手をつければいいのか分からない」
これは中小企業の経営者・労務担当者の方から非常によくいただくご相談です。
社会保険の適用拡大は、
✔ 該当するかどうかの判断
✔ 従業員への説明
✔ 雇用契約の見直し
✔ 年金事務所への届出
など、実務対応が多岐にわたる制度です。
本記事では、
「社会保険の適用拡大の対象となったときに、会社が実際に行うべきタスクの流れ」を、
実務目線でわかりやすく解説します。
1.社会保険の「適用拡大」とは?
社会保険の適用拡大とは、
企業規模に応じて、社会保険に加入する対象者の範囲が広がる制度です。
対象となる会社は、
「特定適用事業所」と呼ばれます。
まずは、この制度の全体像を正しく理解することがスタート地点です
2.【STEP①】特定適用事業所に該当するかを確認する
適用拡大対応の最初のステップは、
自社が「特定適用事業所」に該当するかどうかの確認です。
✔ 従業員数の状況
✔ 対象期間
✔ 法改正スケジュール
などを踏まえ、最終的に該当しているかを確認します。
👉 該当した場合は、後述する届出が必須になります。
3.【STEP②】人件費・社内制度の見直しを行う
特定適用事業所に該当する可能性が高い場合、
事前準備として必ず行っておきたいのがコスト試算です。
具体的には、
- 新たに社会保険に加入する短時間労働者は誰か
- 社会保険料の会社負担額はいくら増えるのか
- 賃金体系・勤務時間の見直しが必要か
といった点を整理します。
この段階で検討せずに進めてしまうと、
後から人件費が想定以上に増えてしまうケースも少なくありません。
4.【STEP③】従業員(特に短時間労働者)への周知・面談
次に重要なのが、従業員への丁寧な説明です。
周知方法の例
- 書面による通知
- 従業員向け説明会の実施
周知する内容の例
- 特定適用事業所に該当したこと
- 該当予定日
- 社会保険加入の概要
あわせて、
社会保険の被保険者に該当する可能性のある短時間労働者とは、個別面談を行います。
面談では、
- 社会保険制度の説明
- 保険料負担の説明
- 今後の働き方の希望
などをヒアリングします
5.【STEP④】特定適用事業所該当届の提出
実際に特定適用事業所に該当した場合は、
「特定適用事業所該当届」を作成し、
- 管轄の年金事務所
- または事務センター
へ届出を行います。
👉 この届出を忘れると、後の手続に支障が出るため注意が必要です。
6.【STEP⑤】雇用契約の再締結・社会保険の加入手続
新たに社会保険の被保険者となる短時間労働者については、
- 所定労働時間の変更
- 労働条件の整理
を行い、
雇用契約書を変更・再締結します。
その後、
- 社会保険被保険者資格取得届
を作成し、年金事務所へ提出します
7.【STEP⑥】手続完了後の社内対応
社会保険の手続が完了した後も、対応は続きます。
主な実務は以下のとおりです。
- 手続書類の保管
- 「資格情報のお知らせ」の交付
- 給与計算システム・社会保険システムの設定変更
これらを行って、初めて実務が完了します。
8.【実務事例】パート従業員が社会保険加入対象になったケース
事例
従業員数が増え、特定適用事業所に該当した飲食店A社。
週20時間以上勤務するパート従業員が複数名在籍していました。
対応
- 事前に社会保険料の会社負担を試算
- 対象となるパート従業員と個別面談を実施
- 勤務時間と賃金条件を整理し、雇用契約書を再締結
- 年金事務所へ適切に届出
結果
従業員とのトラブルもなく、
スムーズに社会保険の適用拡大対応を完了できました。
9.まとめ|社会保険の適用拡大は「準備」と「順番」が重要
社会保険の適用拡大は、
- いきなり手続きをする
- とりあえず届出だけ出す
といった対応では、後から必ず問題が生じます。
✔ 該当確認
✔ コスト試算
✔ 従業員への丁寧な説明
✔ 正確な手続
この順番を守ることが、経営リスクを抑える最大のポイントです。
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