社会保険の正しい取扱い
|ひらおか社会保険労務士事務所
はじめに(経営者の皆さまへ)
福利厚生として社宅を用意している企業は多い一方で、
- 「社宅って、社会保険料の対象になるの?」
- 「家賃を取っていれば問題ないのでは?」
- 「現物給与額ってどうやって計算するの?」
といったご質問をよくいただきます。
社宅は社会保険上「現物給与」に該当するため、
取扱いを誤ると、標準報酬月額の算定ミス=保険料の追徴につながることもあります。
今回は、
社宅を貸与する場合の現物給与額の算出方法について、
経営者の方向けにわかりやすく解説します。
1.社宅は「現物給与」として社会保険の対象になります
社会保険では、
被保険者が
労働の対償として通貨以外で受ける利益
を「現物給与」として扱います。
会社が従業員に社宅を貸与する場合、
- 家賃が無料
- 相場より大幅に安い
といったケースでは、
住宅の利益分が「報酬」とみなされ、社会保険料算定の対象になります。
2.現物給与額は「市場家賃」ではありません
ここでよくある誤解が、
「近隣の家賃相場をもとに計算する」
という考え方です。
❌ これは誤りです。
社宅の現物給与額は、
「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」
(厚生労働省告示)に基づいて算出します。
3.住宅の現物給与額の算出方法(基本)
住宅の場合、現物給与額は次の方法で計算します。
① 畳一畳あたりの単価を確認
厚生労働省告示により、
地域ごとに「畳一畳あたりの単価」が定められています。
(※全国一律ではありません)
② 居住用部分の面積を確認
対象となるのは、次のような居住用の室です。
- 居間
- 茶の間
- 寝室
- 客間
- 書斎
- 応接間
- 仏間
- 食事室 など
※ 廊下・浴室・トイレ・玄関などは原則含まれません。
③ 畳数 × 畳単価 = 現物給与額
畳一畳の単価 × 居住用部分の畳数
これが、社宅の現物給与価額となります。
4.家賃を徴収している場合の取扱い
社宅を貸与し、
従業員から家賃や使用料を徴収している場合でも注意が必要です。
この場合は、
算出した現物給与価額 − 徴収している家賃等の額
が、最終的な現物給与額となります。
ポイント
- 家賃を取っている=現物給与がゼロ
👉 とはなりません - 徴収額が告示額を下回る場合
👉 差額が現物給与として報酬に加算されます
5.【実務事例】よくある社宅の計算ミス
事例:家賃を取っているから問題ないと思っていたケース
- 会社が従業員に社宅を貸与
- 毎月2万円の家賃を徴収
- 現物給与としては未計上
しかし、告示に基づく現物給与額は 月3万円。
👉 差額の 1万円 が毎月の報酬に含まれるべきだった。
結果として、
- 算定基礎届で報酬が過少申告
- 後日、社会保険料の追徴が発生
という事態になりました。
6.経営者が押さえるべき実務ポイント
✔ 社宅は社会保険上「現物給与」に該当
✔ 市場家賃ではなく、厚労省告示で計算
✔ 畳単価 × 居住用部分が基本
✔ 家賃徴収があっても差額に注意
✔ 標準報酬月額に影響するため、算定基礎届で要確認
7.まとめ
- 社宅貸与は社会保険の計算に直結する重要事項
- 現物給与額は、法律・告示に基づき機械的に算出
- 誤りがあると、後から修正・追徴のリスクあり
「福利厚生だから大丈夫」では済まされないのが社宅制度です。
社宅制度・社会保険の取扱いでお悩みの経営者さまへ
「この計算方法で合っている?」
「算定基礎届の記載が不安…」
そのような場合は、早めの確認がトラブル防止につながります。
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