中小企業が今すぐ活用すべきポイントを事例とともに解説|ひらおか社会保険労務士事務所
最低賃金の大幅な引上げが全国で続いており、
中小企業・小規模事業者にとって 「人件費の増加にどう対応するか」 は
避けられない経営課題になっています。
厚生労働省は、最低賃金の引上げに対応できるよう
設備投資・生産性向上・業務改善・賃上げ支援 を目的とした補助金・支援策をまとめた
「最低賃金・賃金引上げに向けた支援施策紹介マニュアル(令和7年11月版)」
を発行しています。
この記事では、経営者が押さえるべき主要ポイントと、
実務で役立つ活用方法をわかりやすく解説します。
1.なぜ今、賃上げ支援の情報を押さえる必要があるのか?
最低賃金は今後も高い水準での引上げが予想されており、
「気づけば最低賃金割れしていた」という企業が増えています。
最低賃金割れを起こすと…
- 未払い賃金請求(最大3年分)
- 労働基準監督署からの是正指導
- 従業員の離職リスク増大
- 採用競争力の低下
など、経営への影響は非常に大きくなります。
そのため国は、賃上げに取り組む中小企業を支援するために
複数の補助金や助成金を用意 しています。
2.令和7年版マニュアルに掲載されている主要な支援策(ポイント解説)
以下は、マニュアルに掲載されている代表的な支援策の要点です。
◆① 業務改善助成金(最重要)
【目的】
生産性向上のための設備投資を行い、
事業場内最低賃金を引き上げた企業を支援する制度
【活用できる例】
- POSレジ導入
- 自動釣銭機
- 在庫管理システム
- 省力化機械の導入
【ポイント】
- 賃金を一定額引上げる → 設備投資に補助金
- 最大600万円クラスの補助も可能
- 小規模事業者ほど活用メリットが大きい
◆② 人材開発支援助成金(教育訓練系)
従業員に専門的な教育訓練を行うことで
訓練費用+訓練期間中の賃金の一部を助成。
活用できる企業の例
- 新人研修を手厚くしたい
- 医療・介護事業所
- IT・DX化を進めたい企業
◆③ キャリアアップ助成金(非正規→正社員化)
非正規従業員を正社員化することで受給可能。
こんな企業に最適
- 定着率を上げたい
- コストを抑えながら正社員化を進めたい
- 評価制度の整備を始めたい企業
◆④ 事業再構築補助金・ものづくり補助金等(大型投資向け)
最低賃金の引上げに直接紐づかないものの、
業務効率化・収益改善に必要な設備投資 を支援。
◆⑤ よろず支援拠点・商工会議所の無料相談窓口
- 経営改善
- 補助金の使い方
- 事業戦略の設計
など、無料で相談可能。
3.【事例】実際にあった中小企業の成功例
【事例①】飲食店(従業員15名)
◆課題
・最低賃金の引上げで時給を見直す必要
・レジ締めに毎日30分以上かかっていた
◆取り組み
業務改善助成金を利用して
自動釣銭機を導入
◆結果
- レジ締め時間が30分 → 5分に短縮
- 生産性向上分を原資に時給を30円アップ
- 助成金で設備投資の負担が大幅軽減
【事例②】介護事業所
◆課題
・採用難で離職率も高い
・教育体制の不十分さが問題に
◆取り組み
人材開発支援助成金を活用し、
外部研修+OJTプログラムを整備
◆結果
- 教育品質が向上し新人の定着率UP
- 利用者からの評価も改善
- 処遇改善とあわせて職員の満足度も向上
【事例③】製造業(小規模)
◆課題
・残業が多く生産効率が低い
・最低賃金引上げに対応できるか不安
◆取り組み
ものづくり補助金で
検品工程を自動化する機械を導入
◆結果
- 作業時間が大幅に短縮
- 最低賃金アップにも安心して対応可能
- 利益率改善につながった
4.経営者が今すぐ行うべき3つのステップ
✔ ステップ① 現在の賃金体系が最低賃金割れしていないか確認
職種別・店舗別でチェックするのがポイント。
✔ ステップ② 数年先の賃金引上げも見据えた“賃上げ原資”の確保
補助金・助成金を使って
「生産性を上げる仕組みづくり」が必須。
✔ ステップ③ 自社が使える支援策を診断する
業務改善助成金とキャリアアップ助成金は
特に利用しやすく効果が大きい制度です。
5.まとめ:賃上げは“負担”ではなく“企業成長の投資”
最低賃金の引上げは避けられませんが、
国の支援策を上手に使えば 人件費増加=経営悪化 とは限りません。
むしろ、
- 生産性向上
- 離職防止
- 採用力アップ
につながるチャンスでもあります。
「どの補助金を使えばいいのか分からない」
「業務改善助成金を使いたいが要件が不安」
というご相談が非常に増えています。
当事務所では、
賃上げ対応のための助成金診断・申請支援・賃金制度の見直し
までトータルでサポートしています。
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