労務管理

【2025年版】厚生労働白書が公表/ひらおか社会保険労務士事務所

経営者が押さえておきたい労務の重要ポイントを解説

2025年(令和7年)版の厚生労働白書が公表されました。
厚生労働白書は、今後の労働政策・社会保障の方向性を示す重要な資料であり、
企業経営、とりわけ人事・労務管理に直結する示唆が数多く含まれています

本記事では、経営者の方が特に押さえておきたい
「実務に影響の大きいポイント」に絞って、
わかりやすく解説します。

1.厚生労働白書とは?(経営者向けに簡単解説)

厚生労働白書は、

  • 国が現在直面している課題
  • 今後の政策の方向性
  • 社会保障・労働施策の重点分野

を整理した、いわば「国の方針書」です。

2025年版白書は、

  • 第1部:若者世代に向けた社会保障・労働施策の役割
  • 第2部:雇用・賃金・子育て・医療・介護など分野別施策

という構成になっています

2.経営者が特に注目すべきポイント①

最低賃金の引上げと「賃上げ対応」

白書では、最低賃金の継続的な引上げが明確に示されています。

  • 2025年の地域別最低賃金は
    全国平均で過去最大の66円引上げ
  • 全国加重平均は 時給1,121円
  • 全都道府県で 初めて1,000円超え

経営者への実務的影響

  • パート・アルバイトの賃金見直しが不可避
  • 賃金規程・雇用契約書の再確認が必要
  • 助成金(業務改善助成金等)の活用検討が重要

【事例】

最低賃金改定を把握しておらず、
結果として最低賃金割れが発生。
是正指導+未払賃金の遡及支払いが必要に。

👉 「知らなかった」では済まされない分野です。

3.注目ポイント②

ワーク・ライフ・バランスと柔軟な働き方の推進

白書では、
テレワークや柔軟な働き方の定着・促進が強調されています。

特に、2025年施行の改正育児・介護休業法との関係が重要です。

実務上のポイント

  • テレワークは「特別対応」ではなく制度の一部
  • 育児・介護との両立支援が企業の責務に
  • 就業規則・社内制度の整備が不可欠

【事例】

制度はあるが、運用ルールが曖昧で
「使いづらい職場」という評価に。
結果、若手人材の離職が増加


4.注目ポイント③

仕事と育児の両立支援(男性育休の拡大)

白書によると、

  • 女性の出産後継続就業率は約7割
  • 男性の育児休業取得率は 30.1%(過去最高)

国は今後、

  • 男性育休取得率50%(2025年度)
  • 85%(2030年度)

を目標としています。

経営者が注意すべき点

  • 育休取得は「特例」ではなく前提
  • 個別の意向聴取・配慮義務への対応
  • 管理職の理解不足がトラブルの火種に

5.注目ポイント④

ハラスメント対策のさらなる強化

白書では、従来のハラスメントに加え、

  • カスタマーハラスメント
  • 就活ハラスメント

への対策強化が明記されています

特に、
カスタマーハラスメント対策の義務化は、
今後すべての企業に影響します。

【事例】

顧客対応を理由に放置した結果、
従業員がメンタル不調で休職。
会社の安全配慮義務が問題に。


6.経営者の方へ|白書から読み取る実務対応の方向性

2025年版白書から読み取れるメッセージは明確です。

  • 人材不足は「構造的問題」
  • 働きやすさは「経営課題」
  • 労務管理は「守り」ではなく「戦略」

👉 制度対応を後回しにしないことが、
これからの企業経営の安定につながります。


7.まとめ

  • 厚生労働白書は、今後の労務実務の羅針盤
  • 最低賃金・育児支援・ハラスメントは特に重要
  • 早めの制度整備がリスク回避につながる

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