法改正も踏まえた「やり忘れ防止」年間チェックリスト
人事労務の実務は、
「毎月やる業務」だけでなく
年に1回・数回しか発生しない業務が数多くあります。
これらをうっかり失念すると、
- 行政指導・是正勧告
- 追徴金・延滞金
- 従業員とのトラブル
といった 経営リスク に直結します。
本記事では、
2026年の法改正も踏まえた「人事労務 実務カレンダー」を、経営者目線で分かりやすく解説します。
1．人事労務業務は「年間管理」が重要
人事労務は次の3つに分かれます。
① 毎月必ず行う業務
- 給与計算・勤怠管理
- 社会保険料・税金の納付
- 年次有給休暇の管理
- 衛生委員会・安全委員会（対象企業）
👉 ここは多くの企業が対応できています
② 年に1回～数回の重要業務（忘れやすい）
- 労働保険の年度更新
- 算定基礎届
- 36協定の届出
- 年末調整
- 法定調書・給与支払報告書の提出
- 定期健康診断の実施
👉 経営者が一番ミスしやすいゾーン
③ 随時発生する業務
- 入退社手続き
- 社会保険・雇用保険の手続き
- 人事異動・昇給・降格に伴う給与改定
- 就業規則の改定
- 労災発生時の対応
2．【月別】人事労務 実務カレンダー（要点）
春（4月～6月）
- 新入社員の入社手続き
- 雇用保険料率の改定
- 社会保険料率の改定
- 住民税の新年度税額への更新
- 定期健康診断の実施
👉 人事・労務が最も忙しい時期
夏（7月～9月）
- 労働保険 年度更新
- 算定基礎届の提出
- 賞与支払届（夏季賞与）
- 社会保険料の定時決定（9月分～）
- 最低賃金改定への対応
秋（10月～12月）
- 年末調整
- 法定調書・給与支払報告書の準備
- 労働者死傷病報告（4日未満災害）
- 冬季賞与対応
- ストレスチェック（実施時期の企業）
冬（1月～3月）
- 法定調書・給与支払報告書の提出
- 源泉所得税の納付（納期特例）
- 36協定の更新
- 労働保険料（第3期）の納付
3．【2026年】経営者が必ず押さえる法改正ポイント
2026年は、以下のような経営に直結する改正が予定されています
- 子ども・子育て支援金制度の開始
- 男女間賃金差異・女性管理職比率の公表義務
（※従業員101人以上） - 障害者雇用率の引上げ（2.7％）
- 高年齢労働者の労災防止措置の努力義務化
- 在職老齢年金の支給停止基準額引上げ
👉 「知らなかった」では済まない内容が含まれています。
4．実務でよくある事例（中小企業）
【事例】従業員30名・建設業
- 労働保険の年度更新を失念
- 労基署から指摘 → 期限後申告
- 延滞金＋是正報告書の提出が必要に
👉 カレンダー管理をしていれば防げたケース
5．経営者がやるべき対策
- 年間の労務スケジュールを「見える化」する
- 法改正は早めに影響範囲を確認
- 顧問社労士と定期的にチェック
- 「何月に何があるか」を把握する
まとめ｜人事労務は「後追い対応」が一番危険
人事労務は
トラブルが起きてから対応するほどコストが増えます。
年間カレンダーをもとに
「事前管理」へ切り替えることが、
経営の安定につながります。
