労務管理

固定残業代制度とは? ひらおか社会保険労務士事務所

― 正しく使わないと「残業代未払い」になるリスクも ―

「固定残業代を導入しているから、残業代は問題ない」
そう思っていませんか?

実は、固定残業代制度は“使い方を間違えると違法”と判断されるケースが非常に多い制度です。
今回は、経営者の方向けに、固定残業代の基本ルール・実務上の注意点・具体例をわかりやすく解説します。

2.固定残業代が有効とされるための3つの条件

① 固定残業代と基本給を明確に区別すること

給与明細や雇用契約書で、

  • 基本給:〇円
  • 固定残業代(〇時間分):〇円

はっきり分けて記載する必要があります。

👉「基本給に含まれている」「調整手当として支給」などの曖昧な表現はNGです。


② 設定時間・金額・清算方法を事前に書面で説明すること

会社は、固定残業代の対象者に対して、

  • 固定残業代の金額
  • 何時間分の残業に相当するのか(設定時間)
  • 超えた場合の清算方法

書面で事前に通知しなければなりません。

口頭説明だけでは不十分です。


③ 固定残業時間を超えた分は、必ず追加で支払うこと

これが一番重要です。

実際の残業時間 × 割増賃金
= 残業代の総額

この総額が、
固定残業代を上回った場合は、差額を必ず追加で支給する必要があります。

「固定残業代を払っているから、これ以上は払わない」は違法です。


3.【事例】よくあるNGケースとOKケース

❌ NG事例:固定残業代が無効と判断されたケース

  • 基本給:25万円
  • 「この中に残業代を含む」とだけ説明
  • 何時間分か不明
  • 超過分の支払いなし

👉 裁判や労基署では
「固定残業代とは認められず、残業代は別途全額支払う必要あり」
と判断される可能性が高くなります。


✅ OK事例:実務上、問題が生じにくいケース

  • 基本給:22万円
  • 固定残業代:3万円(20時間分・125%)
  • 雇用契約書・賃金規程に明記
  • 20時間を超えた場合は、別途残業代を支給

👉 このように
区分・説明・清算が明確であれば、固定残業代制度は有効と判断されやすくなります。


4.経営者が実務で特に注意すべきポイント

✔ 就業規則・賃金規程に固定残業代の定めがあるか
✔ 雇用契約書と内容がズレていないか
✔ 勤怠管理をきちんと行っているか
✔ 固定残業時間を恒常的に超えていないか

固定残業代は、
「勤怠管理がいい加減な会社ほどリスクが高い制度」
とも言えます。


5.まとめ|固定残業代は“設計と運用”がすべて

固定残業代制度は、

  • 人件費の見通しが立てやすい
  • 採用時に給与を提示しやすい

といったメリットがある一方、
設計や運用を誤ると、未払い残業代として一気に問題化します。

「昔からこうしている」
「他社もやっているから大丈夫」

では通用しません。


📩 固定残業代が気になる経営者の方へ

  • 今の制度が適法か不安
  • 就業規則や雇用契約書を見直したい
  • 労基署対応・是正リスクを減らしたい

そのような場合は、早めの確認・修正が重要です。

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