高年齢者の経験や専門性を活かすため、定年年齢を超えた方を有期契約労働者として新規雇用する企業は増えています。
一方で、雇用期間の上限設定や更新ルールを誤ると、後々トラブルに発展するおそれがあります。
本記事では、経営者・人事担当者向けに、実務で押さえるべきポイントをわかりやすく解説し、具体的な事例も紹介します。
1.まず押さえるべき前提:第二種計画認定は適用されない
定年後再雇用制度でよく話題になる「第二種計画認定(無期転換ルールの特例)」ですが、
👉 定年年齢を超えて「新規雇用」された有期契約労働者には適用されません。
そのため、
- 原則どおり 無期転換ルール(通算5年) の対象
- 更新の仕方によっては 無期雇用への転換申込権が発生
という点を前提に制度設計する必要があります。
2.雇用期間の上限設定として考えられる方法
定年後に新規雇用する場合、退職の区切りを明確にするため、次のような方法が考えられます。
① 第二定年を設定する方法
- 就業規則に
「第二定年:○歳」
を定める - 労働契約でもその年齢までの雇用であることを明記
➡ 年齢で雇用終了を明確にできるため、管理しやすいのが特徴です。
② 労働契約の「更新上限」を設定する方法
以下のいずれか、または併用が考えられます。
- 通算契約期間の上限
例:通算5年まで - 更新回数の上限
例:1年契約・更新4回まで
➡ 無期転換リスクを抑えつつ、柔軟な雇用管理が可能です。
3.更新上限を設ける場合の重要な実務ポイント
(1)毎回「説明」が必要
更新上限がある場合は、
- 有期労働契約の締結時
- 契約更新時
その都度、
✔ 更新上限があること
✔ いつまで雇用される可能性があるか
を本人に説明する必要があります。
(2)途中で不利に変更する場合は「理由説明」が必須
- 新たに更新上限を設ける
- 既存の上限期間を短縮する
といった場合には、
👉 あらかじめ、その理由を従業員に説明することが必要
とされています。
説明不足は、後の紛争リスクを高めます。
4.就業規則と労働契約の「ズレ」に注意
実務で特に多い注意点がこちらです。
❌ 就業規則に定めがないのに
✔ 個別の労働契約書だけで
- 第二定年
- 更新上限
を定めているケース。
この場合、
👉 就業規則の最低基準効により、
その定めが無効と判断される可能性があります。
✔ 必ずセットで整備しましょう
- 就業規則
- 労働契約書(雇用契約書)
5.【事例】60歳定年後、63歳で新規雇用したケース
事例設定
- 定年:60歳
- 63歳で専門職として再度採用
- 1年更新の有期契約
❌ 問題のあったケース
- 就業規則に第二定年・更新上限の記載なし
- 契約書だけに「65歳まで」と記載
➡ 「更新を繰り返せば無期転換では?」とトラブルに。
✔ 適切な対応例
- 就業規則に
- 第二定年:65歳
- 更新は65歳まで
を明記
- 契約更新時ごとに、上限を説明・確認
➡ 雇用終了時も大きな混乱なく対応可能。
6.経営者の方へ|まとめ
定年後に新規雇用する場合、
- 第二種計画認定は使えない
- 雇用期間の上限設計が極めて重要
- 就業規則と契約書は必ず整合性を取る
- 説明義務を怠らない
これらを押さえることで、無用な労務トラブルを防止できます。
根拠法令・参考情報
- 労働契約法 第18条(無期転換ルール)
- 労働基準法施行規則 第5条
- 労働契約法 第12条(就業規則違反の労働契約)
📌 高年齢者雇用や就業規則の見直しでお困りの際は、専門家にご相談ください。
制度設計から規程整備まで、実務目線でサポートいたします。
定年後雇用・有期契約の設計でお悩みではありませんか?
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・更新上限の決め方
・就業規則と契約書の整合性チェック
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