労務管理

従業員のマイカーを業務に使っています。/ひらおか社会保険労務士事務所

月に数回の利用でも「安全運転管理者」の選任台数に含める必要はありますか?

営業活動や現場訪問などで、
従業員のマイカーを業務に使用してもらっている企業は少なくありません。

その際、経営者の方からよくあるご質問がこちらです。

「月に数回しか使っていないマイカーも
安全運転管理者の選任基準の“台数”に含める必要がありますか?」

結論からお伝えします。


結論:一時的な利用であれば、原則として含めません

マイカーを一時的に業務で使用している場合は、
安全運転管理者の選任基準となる「自動車の台数」には含めません

一方で、
業務上、常態としてマイカーを使用している場合は、
そのマイカーも台数に含める必要があります。


安全運転管理者とは?(簡単におさらい)

安全運転管理者は、
一定台数以上の自動車を使用する事業所において、

  • 運転者の安全運転指導
  • 運転記録の管理
  • 事故防止体制の整備

などを行う責任者です。

選任が必要となる基準(代表例)

  • 自動車を5台以上使用する事業所
    (※自動二輪車は0.5台として計算)

ポイントは「一時利用」か「常態利用」か

🔹 一時利用とは(台数に含めない)

  • 突発的・臨時的にマイカーを使う
  • 月に数回程度
  • マイカー使用が業務の前提になっていない
  • 原則は公共交通機関や社用車を使用

👉 この場合、安全運転管理者の台数には含めません。


🔹 常態利用とは(台数に含める)

  • 業務内容上、車両使用が前提
  • マイカー使用を会社が命じている
  • 営業・訪問・配送などで継続的に使用
  • 社用車の代替としてマイカーを使っている

👉 この場合、マイカーであっても台数に含めます。


「月に何回なら一時利用?」という明確な基準はありません

ここで注意が必要なのは、
法令上、「何回以上なら常態利用」という明確な回数基準は定められていない
という点です。

そのため、

  • 使用頻度
  • 業務内容との関係
  • 会社の指示・運用実態

などを総合的に見て判断されます。


判断に迷う場合は「警察署」への相談が有効です

一時利用か常態利用かの判断が難しい場合は、
事業所を管轄する警察署の交通課に相談することが推奨されています。

事前に相談しておくことで、

  • 選任漏れによる行政指導
  • 是正指導・指摘リスク

を防ぐことができます。


【事例】よくある実務トラブル

事例

営業担当者3名が、それぞれ月に5〜6回マイカーで顧客訪問。
社用車はなく、暗黙の了解でマイカーを使用。

会社は「月に数回だから一時利用」と判断し、
安全運転管理者を選任していませんでした。

👉 しかし、実態として

  • 営業業務に車が不可欠
  • マイカー使用が常態化

していたため、
警察署から「常態利用」と判断され、是正指導を受けることに。


経営者の方へ|実務上のチェックポイント

✅ マイカー使用は「例外」か「前提」か
✅ 使用頻度・業務内容を把握しているか
✅ 就業規則・社内ルールに定めがあるか
✅ 台数カウントを正しく行っているか

マイカー利用は、
安全運転管理者の選任義務だけでなく、事故時の会社責任にも直結します。


まとめ

  • 一時的なマイカー利用 → 原則、台数に含めない
  • 常態的なマイカー利用 → 台数に含める
  • 回数の明確な基準はなし
  • 迷ったら警察署(交通課)に相談が安全

📩 車両管理・安全運転管理者の選任でお悩みの方へ

自社の運用が「一時利用」か「常態利用」か、
実務判断に迷うケースも多くあります。

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