連絡が取れない場合、どう対応すればよいですか?
無断欠勤が続き、
電話もメールも出ない――
経営者としては非常に頭を悩ませる状況です。
「このまま解雇してもいいのか?」
「連絡が取れないのに、手続きは進められるのか?」
結論から申し上げると、
連絡が取れない従業員であっても、適正な手続きを踏めば解雇は可能です。
ただし、進め方を誤ると 解雇無効のリスク が生じます。
今回は、実務上安全な対応手順を分かりやすく解説します。
無断欠勤=即解雇、ではありません
まず重要なポイントです。
解雇は、
客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である場合にのみ有効
とされています。
(労働契約法16条)
つまり、
- 無断欠勤があれば即解雇できる
→ ❌ 誤り - 連絡が取れないから自動的に退職扱い
→ ❌ 原則不可
「手続きを尽くしたかどうか」 が、後で最も問われます。
解雇が認められやすくなるポイント
連絡が取れない従業員を解雇するためには、次の事情が重要です。
- 無断欠勤が一定期間継続している
- 出社を求めても応答がない
- 今後も就労の見込みがないと判断できる
- 会社として誠実に連絡・督促を行っている
👉 「放置」ではなく「働きかけを尽くした」ことが必要です。
実務での正しい対応手順(重要)
① 複数の手段で連絡を試みる
まずは、次の方法を 複数日にわたって 行います。
- 電話
- メール
- SMS
- 社内チャット、SNS(業務で使用している場合)
📌 ポイント
- 1回だけでは不十分
- 「◯月◯日、◯時に連絡」など記録を残す
② 身元保証人がいる場合は連絡
身元保証人を立てている場合は、
- 現状を伝える
- 本人に連絡を取ってもらう
これも 「会社として最大限の配慮をした証拠」 になります。
③ 出社を督促する文書を送付
それでも連絡が取れない場合は、
書面での出社督促 を行います。
- 内容証明郵便
- レターパック(配達記録が残る)
文書には以下を明記します。
- 無断欠勤が続いている事実
- 指定期限までに出社・連絡するよう求めること
- 応答がない場合の取扱い(懲戒・解雇の可能性)
④ 解雇予告通知を送付
出社督促にも応答がない場合、
解雇予告通知 を送付します。
- 原則:30日前予告
- もしくは解雇予告手当の支払い
これも、
内容証明郵便+レターパック
で送るのが実務上安全です。
【事例】無断欠勤が続いたケース
事例
入社3年目の従業員が、
ある日を境に無断欠勤を開始。
- 電話・メール → 応答なし
- 1週間以上欠勤
- 身元保証人にも連絡 → 音信不通
会社は、
- 複数回の連絡記録を保存
- 出社督促文書を内容証明で送付
- 期限経過後、解雇予告通知を送付
👉 解雇は有効と判断され、トラブルには発展しませんでした。
ポイント
- 感情的に処理しなかった
- 手続きを段階的に踏んだ
- 証拠を残していた
経営者の方へ(特に重要)
- 勝手に「自然退職」扱いにしない
- 連絡不能=即解雇と考えない
- 書面と記録を必ず残す
- 就業規則の欠勤・懲戒規定を確認する
無断欠勤の対応は、
「早く終わらせたい」気持ちほど危険 です。
根拠法令・参考情報
- 労働契約法 第16条(解雇権濫用法理)
無断欠勤・音信不通の対応でお困りの方へ
進め方を誤ると、後から大きなトラブルになります。
状況に応じた対応手順の整理や、文書作成のサポートも可能です。
👉 初回相談は無料です。
お気軽にご相談ください。