裁判員休暇制度を導入しましょう|ひらおか社会保険労務士事務所
従業員が裁判員等に選ばれた場合、会社としてどのように対応すべきかご存じでしょうか?
裁判員の職務は「国民の義務」であり、従業員が選ばれた際には、会社はその参加を妨げてはいけません。
しかし、実務では「休暇をどう扱うのか」「給与はどうするのか」など、判断に迷うケースが多く見られます。
この記事では、厚生労働省・法務省が発行する資料をもとに、
裁判員休暇制度の導入ポイント・就業規則例・導入企業の事例 をわかりやすくまとめました。
1.裁判員休暇は会社が与える義務があるの?
◆結論
- 従業員が裁判員等に選ばれた場合、必要な休暇取得は法律で認められている(労基法7条)
- 会社は、休暇取得を拒むことができません
- ただし 有給・無給は会社の判断(法律でどちらかを義務化しているわけではない)
◆不利益取扱いの禁止
裁判員法100条により、
休暇取得を理由とした解雇・降格・不利益取扱いは禁止 されています。
2.裁判員休暇制度を導入すべき理由
厚生労働省の調査(PDF資料より)では、以下の結果が示されています。
◆企業の導入状況(令和4年度)
- 約4割がすでに導入
- 導入検討中は約2割
- 上限なしで取得できる企業が 約9割
- 有給で扱う企業が 約6割
多くの企業が「従業員が安心して参加できる環境整備」に取り組んでいます。
3.就業規則に必ず入れておくべき内容(記載例あり)
PDFの記載例(ページ2)では、以下のように定められています。
◆就業規則 記載例(シンプル版)
(裁判員のための休暇)
第○条
労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合には、次のとおり休暇を与える。
① 裁判員又は補充裁判員となった場合 必要な日数
② 裁判員候補者となった場合 必要な時間
※給与(有給・無給)は企業ごとに自由に規定できます。
4.【実務】裁判員として参加する期間はどれくらい?
PDF資料より(ページ2)
- 審理期間は3~4日が多く、約8割が5日以内
- 選任手続きのために裁判所へ行く日もある
→ そのため企業としては 1週間程度の休暇を想定 しておくと実務に合いやすいです。
5.【事例】導入企業の声(ノバレーゼ社)
PDF掲載の導入企業事例(ページ3)より
◆導入した理由
- 裁判員制度スタート(2009年)に合わせて導入
- 裁判員休暇を有給扱いにし、従業員が参加しやすい環境を整備
- 年次有給休暇を使わせずに済むため、社員の不安を軽減できた
◆従業員の声
- 「制度があると知っていたので安心して参加を決断できた」
- 「必要な日数が読めなかったが、会社の制度が後押しになった」
→ 特別休暇制度を整えることで、従業員の不安を減らし、会社の信頼向上にもつながります。
6.【実務で多い質問】会社に裁判員に選ばれたことを伝えていいの?
PDF(ページ2)によると、
裁判員等としての身分は「公にしてはいけない」ものの、
会社へ伝えることは問題ありません。
公にしてはいけない=
SNSやホームページ、マスコミなど
「不特定多数に公開」することを禁止している趣旨です。
会社への報告や、上司に呼出状を見せることは問題ありません。
7.中小企業がやるべき3ステップ
① 就業規則に裁判員休暇条文を追加
有給・無給は会社で決定可能。
※従業員が安心して参加できるよう 有給扱いが望ましい。
② 申請書フォーマットを作る
「裁判員休暇申請書」など簡単な書式を用意しておく。
③ 管理者向けに社内説明
・不利益取扱い禁止
・審理期間の目安
・役割の説明
を事前に共有しておくと混乱が防げます。
8.まとめ
裁判員制度は「国民が司法に参加する」大切な制度です。
企業として裁判員休暇制度を整えることは、
従業員の安心・会社の信頼性向上・法令遵守 のすべてにつながります。
特別休暇制度の改善は、人事労務の質を高める絶好の機会です。
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