会社で働く従業員から、
- 「配偶者を扶養に入れたい」
- 「子どもが生まれたので扶養に入れたい」
- 「親を扶養に入れることはできますか?」
といった相談を受けることがあります。
社会保険の扶養制度は、従業員の生活を支える重要な制度ですが、認定基準や手続きが複雑で、実務で迷うケースも多いのが実情です。
この記事では、
社会保険の被扶養者の認定基準や手続きの流れを、社労士の視点から分かりやすく解説します。
社会保険の扶養とは?
扶養には次の2種類があります。
- 税法上の扶養
- 社会保険上の扶養
この2つは制度が全く異なります。
社会保険の扶養とは、健康保険の被保険者(従業員)が家族を扶養に入れることで、家族も健康保険の給付を受けられる制度です。
例えば、扶養に入ることで
- 医療費の保険適用
- 出産手当金
- 傷病手当金
などの保障を受けることができます。
被扶養者になれる家族の範囲
社会保険では、被扶養者として認められる家族の範囲が決められています。
主な対象は以下です。
同居・別居に関係なく扶養できる家族
- 配偶者
- 子
- 孫
- 父母
- 祖父母
同居が条件になる家族
- 兄弟姉妹
- 伯父・伯母
- 甥・姪
など
資料の図では、三親等以内の親族が基本的な対象となることが示されています。
被扶養者の収入要件
扶養認定で最も重要なのが 収入要件 です。
基本ルールは次のとおりです。
同居している場合
被扶養者の見込み年収が
- 130万円未満
- 被保険者の年収の1/2未満
の場合、扶養に入れる可能性があります。
別居している場合
別居の場合は少し条件が厳しくなります。
被扶養者の年収が
- 130万円未満
- 被保険者からの仕送り額より少ない
ことが必要になります。
収入基準の特例
次のケースでは収入基準が異なります。
| 対象 | 収入基準 |
|---|---|
| 60歳以上・障害者 | 180万円未満 |
| 19歳以上23歳未満の学生等 | 150万円未満 |
また、一時的に収入が増えた場合は扶養が認められることもあります。
2026年からの変更ポイント
2026年4月以降は、
給与収入のみの場合
年間収入の判定は
労働条件通知書などの労働契約内容で判断
されることになりました。
つまり、
- 労働条件通知書
- 雇用契約書
などの確認が、今後ますます重要になります。
被扶養者の手続きの流れ
基本的な手続きの流れは次のとおりです。
① 扶養情報の確認
② 必要書類の収集
③ 被扶養者(異動)届の作成
④ 年金事務所へ提出
提出期限は
事実発生から5日以内
となっています。
必要書類の例
扶養認定では次のような書類が必要になります。
続柄確認書類
- 戸籍謄本
- 住民票
収入確認書類
- 課税証明書
- 雇用契約書
- 退職証明書
- 確定申告書
別居の場合は
仕送り額が分かる資料
(銀行振込など)も必要になります。
【事例】実務でよくあるケース
事例① パート勤務の配偶者を扶養に入れるケース
従業員の配偶者がパート勤務をしており、
年収が 120万円程度
だったため扶養に入れる申請を行いました。
しかし、
- 残業増加
- 時給アップ
により年収見込みが130万円を超える可能性がありました。
そのため、
雇用契約書を確認して収入見込みを判断
し、扶養認定を行いました。
事例② 別居している親を扶養に入れるケース
従業員が地方に住む母親を扶養に入れたいと相談。
確認したところ
- 母の年収:90万円
- 仕送り:月10万円
だったため、
仕送り額が収入を上回っている
ことが確認でき、扶養認定されました。
社労士からのアドバイス
被扶養者の手続きでは次のトラブルが多く見られます。
✔ 年収見込みの判断ミス
✔ 書類不足
✔ 扶養削除の手続き漏れ
特に多いのが
扶養に入れたまま就職してしまうケース
です。
その場合、
健康保険の返還問題
になることもあります。
そのため企業では
定期的な扶養状況の確認
が重要になります。
まとめ
社会保険の被扶養者は
- 扶養できる範囲
- 収入要件
- 必要書類
などを正しく理解することが重要です。
特に2026年以降は
労働契約内容で収入判定
されるため、
企業側の労務管理も重要になります。
社会保険手続きでお困りの企業様へ
- 扶養の判断が難しい
- 社会保険手続きが分からない
- 労務管理を見直したい
という企業様は、お気軽にご相談ください。