企業の就業規則や社内文書、雇用契約書を作成していると、
ふと迷うことがあるのが 「従業員」 と 「労働者」 の使い分けです。
「法的にはどちらを使うべき?」
「間違った表現だと問題になる?」
この記事では、社労士が実務の視点から、両者の違いや注意点をわかりやすく解説します。
✅ 結論:使い分けに法的な決まりはありません
結論から言えば、
「従業員」と「労働者」には、法律上の厳密な使い分けはありません。
📌 法律で定義されているのは「労働者」
労働基準法 第9条
「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
一方、「従業員」 という言葉は、いずれの労働法にも定義がなく、
行政文書や民間企業で慣習的に使われている用語です。
💡 実務上の使い分け(社労士・企業現場での傾向)
| 用語 | よく使われる場面 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 労働者 | 労働基準法、社会保険、判例、申請書類 | 法的・厳密 |
| 従業員 | 就業規則、社内印刷物、社外向け案内、HP | 一般的・柔らかい |
🏢【事例】就業規則を作成するときの表現
❌ 避けたい例
「会社は、労働者に対して懲戒処分を行うことがある。」
→ 硬く、社内文書としてはやや不自然。
⭕ おすすめ例
「会社は、従業員に対して懲戒処分を行うことがある。」
→ 「従業員」は企業で広く浸透している表現。社内向けには柔らかく自然。
⚖️ トラブルにならないためのポイント
| 注意点 | 解説 |
|---|---|
| 法律文書では「労働者」 | 申請手続きや法的通知では必ず「労働者」を使う |
| 社内規定では「従業員」でOK | ただし全ページで表現を統一する |
| 就業規則は混在NG | 「従業員」「社員」が混ざると解釈のズレ・指摘の原因に |
🛠 実務アドバイス(社労士の視点)
- 就業規則・雇用契約書は用語統一が重要
- 助成金の申請や労基署提出書類では「労働者」必須
- 外部向け(HP・リーフレット)では「従業員」「社員」も自然
💬 用語の不統一は、トラブル時に
「この規定は誰を指しているのか?」という解釈争いに発展することもあります。
📝 まとめ
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 法的にどちらを使うべき? | 明確な決まりはない |
| 法律で定義されているのは? | 「労働者」(労基法9条) |
| 実務では? | 文脈に応じて使い分ける |
| 大事なのは何? | 用語の統一・読者へのわかりやすさ |
🗣️ よくある企業からの相談
Q:「社員」「従業員」「職員」どれが正しい?」
A:どれでも構いませんが、「全ページで統一すること」が最優先。
Q:「パート・アルバイトも従業員?」
A:はい。広く雇用されている者全体を指すため、「従業員」のほうが包括的です。
👨⚖️ 社労士からひとこと
言葉の使い分けよりも、
“誰を対象にしている規定か明確になっていること” が重要です。
就業規則、契約書、制度案内で不安があれば、一度プロに点検してもらうと安心です。
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