労務管理

【実務解説】緊急対応で深夜出勤した従業員が翌日まで連続勤務した場合、どこから割増賃金が必要?

災害対応やシステム障害など、勤務終了後に「急な呼び出し(緊急出勤)」が発生することがあります。
このようなケースで、従業員が 翌朝の始業時刻まで連続して勤務を続けた場合、翌日の時間外割増は必要なのか?
という相談をよく受けます。

✅ 結論:翌日の始業時刻までは時間外扱い。始業以降は通常賃金でOK。

通達によると、深夜の緊急業務などで勤務が翌日に及んだ場合、
割増賃金(時間外割増)の対象となるのは「翌日の始業時刻まで」の時間 であり、
始業時刻以降は 通常の所定労働時間として賃金を支払えばよい とされています。

📚 根拠(労基法・通達)

  • 労働基準法 第32条:法定労働時間
  • 労働基準法 第37条:時間外・休日・深夜の割増賃金
  • 通達(昭和63年3月14日基発150号)
     「翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に割増賃金を支払えば足りる」

🧭 よくある実務ケース(事例)

🛠 事例:システム障害による呼び出し

内容詳細
通常勤務9:00〜18:00
帰宅後の呼び出し23:00に出勤(システム障害対応)
終了時刻翌日 8:30まで対応
通常始業9:00

🔎 割増の考え方

  • 18:00〜22:00 → 時間外割増(125%)
  • 22:00〜翌5:00 → 深夜割増(25%)+時間外割増
  • 翌5:00〜9:00 → 時間外割増
  • 9:00以降(始業以降) → 通常賃金でよい(割増対象外)

⚠ 注意ポイント

注意点解説
休憩時間の確保連続勤務となる場合は安全配慮義務が生じる
代休・振替の検討過重労働防止のため、後日に休息を与える
36協定の確認想定外の超過勤務は協定違反のリスク

🛡 企業として取るべき対応

緊急呼び出しの規程を明文化
(就業規則・社内マニュアルにルールを記載)

呼び出し記録の保存
(いつ・誰が・何分呼び出されたか)

過重労働対策(安全配慮義務)
連続勤務させた場合は、翌日以降に休息を与える措置が望ましい


💬 まとめ

ポイント内容
割増賃金始業時刻まで支払えば良い
始業以降通常勤務と同様、通常賃金
実務リスク長時間労働 → 労基署指導の可能性

📩 緊急勤務・呼出対応の規程は整備されていますか?

突然の呼び出しが多い業種では、就業規則での明文化が重要です。
未整備のままだと、未払い残業のリスクや労基署からの指導につながる恐れがあります。

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