労務管理

【実務解説】出張の移動手段を会社が指定してもよい?

~公共交通機関以外を認めない運用は可能か~

出張の際、
「基本は新幹線・飛行機を利用」
「マイカーは禁止」
といった移動手段に関するルールを設けている企業も多いでしょう。

では、会社が出張時の交通手段を限定し、他の手段を認めない運用は合法なのでしょうか?
労働契約法第7条の「業務命令権」との関係から、実務の観点で解説します。


✅ 結論:合理的な範囲なら、会社による指定は可能

会社は、労働契約や就業規則に基づき、業務の遂行に必要な指示を出す権限(業務命令権)を持ちます。
そのため 安全性・経済性などの合理的な理由があれば、移動手段を限定することは認められます。

📌 例:

  • 「原則として公共交通機関を使用すること」
  • 「マイカー出張は禁止」
  • 「LCC(格安航空)の利用は不可」

⚠ ただし、次の場合は“無効”とされる可能性も

NGとなる可能性内容
不合理な命令著しく負担が大きい・非現実的な移動手段
安全性の無視悪天候でも飛行機を強制するなど
緊急対応を阻害災害・事故時に柔軟性がない運用

業務命令権は無制限ではなく、「合理的」であることが前提です。

🧭【事例】マイカー利用を禁止していた企業のケース

背景社員が地方出張でマイカーを希望
会社規定「公共交通機関のみ利用可。マイカー禁止」
争点社員が「自己負担で行くから問題ない」と主張

🔎 判断ポイント

  • 会社:安全確保・事故リスク・保険対応を理由に禁止
  • 結果:企業側の指示が認められた(※合理性あり)

💡 安全性とリスク管理の観点から、一律禁止も正当と判断された例は多いです。


📝 運用する際に就業規則で定めておくべき事項

項目
基本ルール「出張時は公共交通機関を利用すること」
例外「災害・緊急時は上長の承認を得て自家用車等の利用可」
費用精算「会社が認めた手段のみ旅費支給」
安全管理「会社が指定しない手段での事故は自己責任」

🛡 実務担当者のチェックポイント

✅ 規定は就業規則や旅費規程に明記しているか
✅ 「例外への対応」も定めているか
✅ 運用を統一し、部署で判断が違わないようにしているか


💬 まとめ

会社の交通手段指定は?原則OK(合理性が条件)
注意点安全性・経済性・緊急時対応
ベストプラクティス規程で明文化+例外規定

業務命令権を適切に行使するためにも、
「旅費・出張規程」の整備は企業防衛の第一歩です。


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