「個人事業でも社会保険に入らないといけないの?」
「うちは飲食店だけど、加入は必須なの?」
このようなご相談を多くいただきます。
社会保険の加入義務は“法人か個人か”だけでなく、業種や従業員数によっても異なります。
この記事では、社会保険の適用範囲と、個人事業所が任意で加入する方法をわかりやすく解説します。
◆ 個人事業所でも「常時5人以上」なら強制加入
個人事業所であっても、次の条件を満たす場合は社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入が義務になります。
✅ 常時5人以上の従業員を雇用している
✅ 以下の「除外業種」以外の業種である
この条件を満たすと、「強制適用事業所」として扱われ、個人事業であっても社会保険に加入しなければなりません。
◆ 加入義務が免除される業種(除外業種)
以下のような業種では、従業員が5人以上であっても強制適用の対象外となります。
- サービス業の一部(飲食店、理美容、旅館、クリーニング業、ビル清掃業など)
- 農業、林業、漁業
- 政治・経済・文化・宗教団体 など
これらの業種は「任意適用事業所」として、希望すれば社会保険に加入することができます。
◆ 任意で加入したい場合(任意適用事業所)
従業員が常時5人未満の個人事業所や、除外業種の事業所であっても、
従業員の過半数(2分の1以上)の同意を得た上で申請することにより、
社会保険に加入することができます。
✅ 社会保険の加入手続きは「年金事務所」で行います。
✅ 「任意適用申請書」や「従業員同意書」などを提出します。
◆ 【実務事例】飲食店A店(個人経営)のケース
大阪で個人経営の飲食店A店では、アルバイトを含め常時8名の従業員を雇用していました。
しかし、業種が「飲食業」であるため、社会保険の強制適用外に該当します。
従業員の定着率を上げたいという目的から、A店では以下の手順で任意適用を進めました。
- 全従業員に社会保険加入の説明を実施
- 過半数の同意書を取りまとめ
- 年金事務所へ「任意適用申請書」を提出
- 翌月から社会保険料を控除し、従業員も安心して勤務継続
結果として、従業員の福利厚生に対する信頼が高まり、求人応募も増加しました。
◆ まとめ:個人事業でも「任意加入」で信頼アップ
個人事業所であっても、条件を満たせば社会保険への加入が可能です。
特に、飲食・サービス業などでは「社会保険完備」が求人の強みになるケースが多く見られます。
✅ 常時5人以上 → 強制適用の可能性あり
✅ それ以外 → 任意適用での加入が可能
✅ 加入によって人材定着・採用力の向上も期待できる
就業規則や雇用契約書の整備とあわせて、社会保険の加入状況を見直してみましょう。
根拠法令・参考情報
- 健康保険法 第3条(定義)
- 厚生年金保険法 第6条(適用事業所)
- 日本年金機構「任意適用事業所の手続きについて」
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